78話 死闘
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てメラゾーマを次々叩き込み、その上バイキルトやピオリムで補助をしてくれる。……攻撃魔法はあまり効かないのか、火が効きにくいだけなのか、あまり良いダメージにはなっていないようだけど。
普段はここまで距離が離れていればまず怪我の心配はしなくていいけどさっきみたいに飛んでこられたら……なんとか出血を止めて回復を終えたククールの二の舞になってしまうので警戒を怠れず、彼女の表情も普段より険しく見えた。
ともあれ、息をつく暇がないほどの魔法を唱えるしかなかった。だんだん、頭がぼんやりとしてきた。考えすぎと同じで魔法の唱えすぎのせいで頭が焼ききれてきたんだろう。
足りなくなってきた魔力を補うために魔法の聖水を飲み干すも、本職と違って僕じゃやっぱり完全に代わりは出来なくて、さっき折れたらしいヤンガスの腕を治しきれない。動きがそこはかとなく鈍いトウカを元気にできない。万全ではない二人の制止を押し切って迫ってくるアルゴングレートから逃げればせっかく魔力を回復しても走りながらじゃ唱えられない。
こんな時ククールなら逃げながらでもベホイミを口ずさんでいたというのに……彼はなくてはならない存在って分かってたけど、今ひしひしと感じる……。情けない……。
・・・・
がぶりと肩を、噛み付かれて。幸い利き腕ではなかったから、右手の剣を突き刺して抵抗はできたもののどんどん視界は霞んでいく。斬りつけても斬りつけても無尽蔵な体力を持っているのか、赤い化物の土壇場は終わらない。戦闘は長引き、治りきらない傷だけではなく疲労までもが私たちを支配していた矢先の、私の失態。
本来はメインのはずの王子?戦闘のどさくさ紛れに三回はアルゴングレートに思いっきりぶつけたけど、今はどっかいっちゃったね!のたれ死んでない事だけを祈る!どうでもいい!
抵抗してもどんどん深々と肩に牙がくい込んでいく。痛みの脂汗が頬を伝っていき、抵抗できる力もなくなっていく。不気味なその目が私を射抜いて、絶望すらちらりと感じて。らしくない!
「あ……ねき!」
ヤンガスの、全力の一撃がアルゴングレートの背に直撃するも、びくともしない。それはそうだ、ヤンガスの豪腕は噛み付かれた傷でずたずた、エルトの回復は間に合わなくて、全力とはいえ化物には大したことはないだろう……助けてくれようとするその本気の気迫だけはとても、嬉しい。
肩から伝って、左手の手袋にたっぷりと染み込んだ血が限界を超えて地面にぼたぼたと零れ落ちていくのがこんな状況でもはっきりわかった。赤い血が……ククールの血と同じように地面を汚していく。私の突き刺した剣の傷からもアルゴングレートの血が溢れでていて、一面地獄絵図だ。地獄よりひどいかも、なんて笑えない冗談。
人間は激痛に慣れるのかな、それとも冷
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