68話 因縁
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いたのはなんでだと思う?まだ、叔父上も叔母上もお前を愛してたからなのに!愛!愛のためだけに彼らはお前を許したんだ!でも……私だけはお前を許さない!もう、許してやるものか!
・・・・
「妹」だとか。養子だとか。捨て子だとか。そんなにトウカに当てはまらない言葉も珍しい。そんな的外れ……に見えた……女の罵声。でも、僕は。親友だと、自惚れていたのか……トウカが耐えきれずに怒り狂うのを予想すらできなかったんだ……。
「……五月蝿い!」
激しい怒りの声は、その場の人間を恐怖へたたき落とす、肌を突き刺してくるような殺気混じりで。でも、叫ぶ声は、僕には悲壮に聞こえて。
「お前に何が分かる!私の何が分かるんだ!」
がしりと従姉妹の胸倉を掴んだ手は、見る間にぎちぎちと音を立てて力が加わっていく。もがき苦しむライティアの足が浮いた。誰も、止めることができなかった。その圧倒的なまでの力を前にして。もっとも、僕は止める気がなかったのだけれど……少なくとも、あんな口に出すのもはばかれる言葉を簡単に言える奴を助けるつもりはなかった。
「私が捨て子?私が養子?あぁ、そうだとも!たまたまモノトリアの血を引いた何処ぞの馬の骨とも知れぬ、得体の知れない餓鬼だ!それが、私、トウカだ!だから何だって言うんだ?」
「あ”ぐぅッ……」
「女?女だから?私が当主になるのはどうしてだと思う?お前が、正統な後継者の血を引いているとはっきり分かっているお前が使えないからだよ!お前は私より年上だろう?十八の女が次期当主でお前がそうじゃない理由ぐらい分かるだろ?」
ドンッと、トウカはライティアを突き放した、咳き込み、涙を浮かべてトウカを見上げるライティアの目の前にトウカは思いっきり足を振りおろした。当てなかったことが今できうる限りの最大の温情だったのだと僕にはわかった。彼女には……どうだろうか。
……ん?お、女?トウカが?いやいやいやいやいや、本人が言ったとしてもそんなの、信じれないから……だって……あのトウカだよ?無敵の剣士、最強の兵士。それに、声替わりも……してたじゃないか。いくつの時かは覚えてないけど、トウカの声は女の人の声じゃない。アルトより少し低い声だ。ハスキーな女性としてもありえないぐらいに。
「ヒ、ひぃッ……!」
ビシビシと音を立てて石畳が破壊され、クレーターのように、僕たちの立っている地面までも巻き込んで地面が砕け、地面は裂ける間際。そうだよ、このトウカの圧倒的な力。これを見て誰が女だって?嘘だろ?嘘だって言ってくれ……。……ねぇ、なんでククールはこの世の希望が見えた!みたいな笑顔なの?君、とうとうストレスで頭が……ごめんごめん、ヘッドロックかけないで。……隣のヤンガスが思考停止してる……。
でも、それよりも。
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