第一章:大地を見渡すこと 終
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違いない。
二人は互いを見つめ頷きあうと、いざ鍛冶屋の中へと入っていく。外からの風が入ってくるのを気配で察した主人は、はたして手に持っていたハンマーに似た形状をしているとんかちに似たような物を置いてこちらを見ずに話しかける。
「昨日の嬢ちゃんも一緒か。んじゃ早速見てくれや。俺は回りくどいのは嫌いなんでな」
「助かります。では早速武器を見させていただきます」
親父は仁ノ助の言葉にうんうんと返事をして、奥にある部屋へと武器を取りに行った。二人は早速どんな武器が出るか呟きあう。
「何だと思う?直刀は必ず出ると思うけどさ」
「あんたに似合うって言ってたじゃない。他の男共より背が高いし力もあるんだから、戟か槍じゃない?」
「まぁ出来れば槍がいいな。お前はどうする?何か目ぼしい物があるか?」
「う〜ん、見た感じ無いなぁ・・・もうちょい探してみるね」
「おい聞こえてるぜ。俺は地獄耳でもあるんだよ」
奥から戻ってきた親父にギクリとし弁明の言葉を紡ごうとしたが、それを遮るように現れた親父が抱えている思いもよらなかった武器に目を奪われる。
二振りの剣と一つの戟がそこにはあった。一つは彼が望んでいたがこの時代にあると思いもしなかった武器、クレイモア・・・の中原版であった。刃の切れ味と取りわしが良い機動性、これを生かした攻撃『カット・アンド・スラスト』を使って16世紀前後から欧州の戦争で活躍した武器であり、著名な使用者としてはスコットランドの英雄であるウィリアム=ウォーレスなどがある。広刃でなんら彩色が施されていない無機質さを保っており、十字型の柄がとても印象的に目に映る。この時代の人に合わせて作られたか、柄を含めた長さは四尺五寸|《≒135センチメートル》くらいで、一見すると重量は2キロくらいか。しかしこれでも重量級の鎧を着た相手であっても十分だ。これを持って戦場に行けば猛者たちの目にもよく留まるであろう。
彼は満足そうに頭を頷かせると、二つ目の武器を見つめる。
片刃で反りが入ったそれは呉鉤ではあるが、なぜか形状が日本刀に似ている。特に刃の刀の鍔が見事な文様を描いているがためにそう思ってしまう。だがこれはあくまで呉鉤である、故郷にあった伝統ある人斬り包丁ではない。
彼は先ずは擬似クレイモアを親父から受け取って両手で握った。予想よりコンマ3キロは重かったが、それでも誤差の範囲内ではある。彼は一度刀を振る意を二人に伝えて距離をとらせると、大きく深呼吸をして刃を振りかぶりそのまま軽く音を立てながら下ろす。振れないことはないことがこの一振りでわかる。両刃の剣を使うのは余り無かったが、刃が1メートル近くもあるそれは十分な凶器となり、同時に相対する敵に恐怖を与えるであろう。
親父の見事な仕事に感服して満足した彼は二つ目の刀を握ろう
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