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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第一章:大地を見渡すこと 終
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じゃないか・・・?」

「お腹減ったねぇ、あの店の餃子おいしそうだなぁ。あ、その店のラーメンもいい匂いがするなぁ。あ!炒飯もまたいいパラパラ加減だぁ」
「やめろバカ!!俺の財産の生命力はとっくにゼロよ!!!!」
「・・・ぜろってなに?|《注:この時代の中原には『ゼロ』という数的概念がありません》」

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 痛かった。なにが痛かったって食費でございます。仁ノ助の顔が痛みと裏腹に大して曇っていないのは、午後の情報売買である程度路銀の稼げたからであろう。後は最後に回る予定となっている鍛冶屋だけだ。昨日の戦いでは既に使っていた刀は賊の体から抜けなくなっており、賊から奪った刀はいずれも鈍|《なまく》らもいいところであった。血脂はすっかり錆びた鉄にこびり付いていて実践には使い物にならなかったため、刃をつぶして町の衛兵に寄付をした。あれならば練習用の刀の代替わりとなるに十分であったのか、衛兵は使えるものはなんでも使うとばかりに快くそれをもらってくれた。
その後に開かれた宴に酒が入る前に武器屋の厳つい親父がこちらに近寄って話しかけてきた。曰く、あんたに見合いそうな武器を数本持っているから暇があったら取りにこい。
 どのような武器が手に入るかわくわくとするべきなのだが、なにぶん出費が思ったより嵩|《かさ》んでおり気がいまいち乗ってこない。詩花はそんな彼の憂鬱を吹き飛ばすようにわくわくと笑みをたたえながら機嫌よく歩いていく。

「武器かぁ・・・・・・チラッ。あたしも一本欲しいなあ・・・・・・チラッ」
「・・・一本くらいなら買ってやるから、ちらちらしないの」
「やった!その言葉信じるからね!!ん〜〜、出来るなら細剣が欲しいけどすぐ壊れそうだからなぁ・・・・・・。持つんなら剣はやめて戟にしようかな・・・・」

 喜びながら自分が持つことになるまだ見ぬ武器に思いをはせる彼女を見て、開き直ったのか憂鬱な表情は軽い溜息と共に宙へ消え去った。深く悩まずに現実を受け入れる彼の性格はポジティブシンキングともいってよいのか、または何事にも軽い男というべきなのか。彼もまた自分に用意されているはずの武器達に思いをはせ、どのような物を持とうか思考をめぐらせている。
 持てるのであれば、出きれば両刃の剣が欲しい。更にいえば、もし持てるならクレイモアに似た剣が持ってみたい。刀は刀身が真っ直ぐな直刀が多いが刺すだけでは昨日のようになる。もし持てるなら反りがある呉鉤|《ごこう》があればいいなぁ。それか短刀か投げナイフ。鉞|《えつ、即ちまさかり》は使いにくくて流石に無理だな。

 そうこう考えているうちに目的の場所に着いた。入り口からは中で何かを叩いている音が聞こえてきた。鍛冶屋の主人自らの職を全うしているに
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