66話 家系
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い、痛いって、ゼシカ。足をそんなに激しく踏まないでよ。ちょっと空気を和らげようと思ってふざけただけじゃないか。わざわざ言い直さなくても良かったって?んな、理不尽過ぎるよ……。
「……こほん。でも、相手をある程度分かっているなら、話も違ってくるよね?」
「まぁ、そうよね」
「俺の聖堂騎士団としての地位は使えないのは分かってるだろうな?……ゼシカの出身でも使うのか?」
「アルバート家は大陸の違う国に知られている程の家ではないわよ……」
「そうなのか?……サザンビークの事情も分からないのに、そんなことは可能か、トウカ?」
「うん。とりあえず身分証明には充分かな……と思いたいね。私の地位を、権力をね……無理矢理、使わせてもらうよ。心底やりたくなかった方法だけど、相手の不信感を削げるならいくらでも使うさ……」
あ。今まさに思い出したかのようにゼシカが手を打つ。
「……まぁ、いきなりやって来た奴が『私はトウカ=モノトリアです』なんて行っても信じ難いから、不本意だけどサザンビークのヴェーヴィット家当主に話を通すけど。少しだけ協力してもらわないと……あぁ行きたくないなぁ……あいついるだろ……」
「……は?」
「ん、どうしたのククール?」
「ト、トウカお前モノトリアだったのか?」
「あぁ……言ってなかったっけ?ゼシカには言ったから言ったつもりだったよ……ボクはご存知、トウカ。本名トウカ=モノトリア……モノトリア家長子さ」
うっかりしてたな……すっかりしてたつもりだったのにな。私のことをなんだと思ってたかは分からないけど、モノトリア家は……有名、だからなあ。取り敢えずトロデーンではその名前を知らない人はいなかったし、前にサザンビークに来た時は……義父上と義母上の威光だろうけど、丁寧な扱いをされたし。そりゃびっくりするよね……。
「……、あぁ、モノトリアの騎士か」
「それ、アンタちょっと気づくの遅過ぎないかしら」
「ただいま……って、何の話してるの?」
みんなでたむろしている宿の部屋に戻ってきたエルトがきょとんとしている。……髪の毛、直せてよかったね。この前は直したとか言いながら直ってなかったからちょっと心配してたんだ。
「トウカの兄貴のすごさを知らなかったククールが戸惑っているだけでがすよ」
「……そう」
「聞いてよエルト。ボク、うっかり家名教えるの忘れてたんだ」
「……、そう。知ってしまったからにはこれまで以上に胃薬が必要だね……」
「おい、エルト」
「……家族ぐるみで僕に気軽に接してくれるほど優しい人達だから要らないか……」
……、その話は今から乗り込むモノトリアの分家、ヴェーヴィット家の「あいつ」だけは当てはまらないからしないほうがいいような。あいつ、無駄に魔力が高いから結局罰則の魔法
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