64話 霧
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を構えて身を守る。
……まぁ、見つけたのは何度も存在を感じられたギャリングさんの部下たちなんだけどね!知ってた!
「……!お前たちは何者だっ?!」
「貴方たちと目的が同じ旅人さ。ドルマゲスを倒しに来た」
そう言ってみれば警戒は少し緩められたみたい。駄目だよ、もっと見極めてからにしないと。……まぁ、私達は本当にそのつもりでいるから良いんだけどさ。罠のつもりで言ってたらどうしてたんだろう……。人ごとながらハラハラするね。
「この、『闇の遺跡』にドルマゲスが立て篭もってるってことで良いのかな?……ギャリングさんの部下さんたち?」
「……誰かが、話したのだな。その通りだ。怪しげな黒い霧のせいか、この遺跡に何度入ろうと試みても気付けば入口に戻ってきてしまう」
「とりあえず、試してきたらいいと思う……もしかしたら行けるかもしれないし」
……へえ。面白い罠が仕掛けてあるんだね。気がついたら入口に戻る……黒い霧……あぁ、なんか知ってるよ。太陽の力を借りれば晴らせるよね。たしか、ラーの鏡、だっけ?まぁ、この人の言うように一度挑んでみてからみんなに言おうかな……。どこかの国の国宝だったような?……思い出すのは後でいいか。
「……やっぱり、行くよね」
「そりゃ、もちろんさ」
「ちょっと、……その霧で何らかの悪影響が誰かに出るかもしれないと思ったら怖いな」
「……それは、そうだな」
「そうでがすが……」
「でも、みんな結局行くんでしょう?」
まぁ、エルトの心配はごもっともだけどさ。その危ない霧に突撃して平気だった人達がそこにいるんだからそこまで警戒しなくてもいいと私は思うんだけどな。というか、ぐだぐだ考えていてもドルマゲスは倒せないし。ゼシカの言葉でみんな、一応は頷いたんだし、いいよね。
先頭にいたエルトの肩をぽんと叩き、親指で霧の渦巻く遺跡の入口を指し示して。
「ボク、一番乗りするけどいいよね?」
「……いや、僕も一緒に行くよ。最近はトウカに一番を取られてばかりだし……」
「それでこそ、ボクの親友だよ」
無意識のうちに口角が上がっていたのか、エルトの大きめの漆黒の瞳に映る私の顔は満面の笑みを浮かべていた。我ながら……愉快で愉快で堪らないといった風な目だ。なのにどこか……残虐性が見え隠れしていて。今から人殺しに行くというのに。いや、行けるかわからないけどさ。
……なんとなく。本当に私は変わってしまったんだと……痛感する。平和な時代に生きて死んだ少女はとっくの昔にいなくてさ。そこにいたのは戦いに執着し、王家に仕えるという名目で自分を抑える鬼だったのかもしれない。だって私は義兄……ルゼルの代わりなんだから。本物じゃないんだから、忠誠心は、偽物なんだろう。
「そんなに気を張らなくても
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