暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第228話 結城家の食卓
[7/11]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
2人で、勉強の話もして、お料理の話もして、クラスの友達の話もして、時には流行のファッションの話もして……、そんな空間が
この家
(
・・・
)
の中で唯一の拠り所、だったのかもしれない。
――……いつから、自分の家を。……育ってきた筈の家を、そう想う様になったんだろう。
楽しさを沢山学ぶ事が出来た。幸せの形も、あの世界で学び、共に培う事が出来た、育む事が出来た。……この家では出来ない事が沢山出来た。
だからこそ、
あの2年間
(
・・・・・
)
があったからこそ、強く想う様になったのかもしれない。
明日奈は暫くベッドに腰掛けていたが、やがて 時間も迫っていた為 身体を起こし、重い足を引きずるように、クローゼットの前に移動する。アミュスフィアを利用する時は、ゆったりとした服装、フリースの上下など、楽な服装を選んでいる。
だが、母親は例え家の中であったとしても、いいかげんな格好をしているのを好まない。
だからこそ、身だしなみを整えて、夕食のダイニングへと向かうのだ。
そして、全ての準備が整った所で、2Fにある自分の部屋から外へ。半円を描く広い階段を降りようとした時だ。
『佐田さん。これ 作ってみたんです。よかったら、お子さんへのお土産にどうですか?』
玲奈の声が、1Fホールに響き渡り、2Fにも伝わってくる。
話し相手であろう《佐田》と言うのは、結城家で雇っているハウスキーパー、である。玲奈は、佐田にとある物を渡そうとしていたのだ。
『そ、そんな、お嬢様。私などの為に……』
『ふふっ、もう直ぐ バレンタインですから。良かったら、味の感想をくれる人が沢山いてくれた方が嬉しいんです。だから、どうですか?』
それは、手作りのチョコレート、だった。
結城家の令嬢である玲奈から頂くなんて……、と恐縮をし、申し訳なくも思っていた佐田だったのだが、玲奈の幼さがまだ残る笑顔を見せられ、無下に断るなんて事が出来る訳もない。そして、そのことは玲奈自身も判ってる。ずっと、お世話になってきたのだから。
『沢山作った中でも、これ自信作、なんです! あ、でも 一番美味しく出来てるって想ってる分は、……ちょっと申し訳ないですけど、渡せませんけど、ね?』
にこっ、とウインクをし、可愛らしくリボンで止められた包装紙に包まれたチョコレートを佐田の手の中に置いた。そこまでいわれて、佐田の表情も徐々に柔らかいものへと変わっていく。
自分にも 経験がある事だから、と笑顔を返し。
『……そうですね。お嬢様には素敵な人がいらっしゃるんですから』
『あ、あはは………//』
和ませる為とは言え、玲奈はやっぱり直接言われたら照れてしまうのは仕方がない事だろう。
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ