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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第228話 結城家の食卓
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殆ど同時にログアウトをした。
その時には、キリトは目を覚ましており、ユイに顔中が墨だらけである事に驚かれ、笑われ、楽しそうだった。だけど……アスナは、その輪の中に入る事は無かった。
これから、
帰る
(
・・
)
場所は 心の拠り所じゃないから――。
また、早くキリトに会う為にも。早く 一日を終えたかったから。
その気持ちは、レイナにも伝わっていた。キリトを何処か遠い目で眺めていたアスナを見たから。……それだけでもよく判ったから。
〜結城家〜
視界が、目の前に広がっていた世界が真っ白に染まった後、黒く闇に染まる。
それと同時に、チチッ、という短い電子音が聞こえてきた。それは、アミュスフィアの電源が落ちた音であり、心の拠り所でもあった
森の家
(
あの場所
)
から離れてしまった合図でもある。
ゆっくりと瞼を開けた明日奈は、肌にまとわりつく冷気を感じ、完全に意識を覚醒させた。……どうやら、エアコンを弱暖房運転にセットしていた筈なのに、タイマーを解除するのを忘れていた様だった。
――……どこが、しっかりものの、姉なんだろう。レイの方がよっぽど……。
それは、昔から脳裏に少なからず過る事だった。
妹の前では しっかりしている姉を演じなければならない。……見本でなければならない。
そう、幼少期から想い続けてきた。……だけど、認識はどんどん変わってきた。道標になる。支える。と想い続けてきたのだけれど、それは自分自身も同じだった、と言う事に気づいたからだ。
玲奈の屈託のない笑顔にいつも救われてきた事を、遅くなりながらも気づいたから。
そして、何度も言ってくれていたのは、妹の玲奈からだった。
子供の頃より憧れの視線を向けられていた事には、明日奈自身も気づいていた。勿論、それで明日奈が、玲奈に対し、優越感に浸ったり、先に生まれたからと言うだけの理由で、理不尽な姉妹問題に発展する様な事はない。
最終的には お互いが、お互いに尊敬し合っていた面があったから、その様な方向へと行かなかった、と言えるだろう。
明日奈は玲奈の事を、明るく真面目で、誰とでも仲良く輪に入っていける。言うならば、天真爛漫の見本である、と言っていい。
妹バカだと言われても別に良いし、娘であるユイの事同様に、それは 褒め言葉だと受け止めている。
玲奈は、明日奈の事を尊敬していた。常に前を向いて皆の見本、先を示す光になっている、と比喩抜きで思っていた。1つ歳下であるからこそ、同級生で 憧れの視線を集めていた事に関しては、妹として、本当に誇らしかったし、自分の事の様に嬉しかった。
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