第6話『邂逅』
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ったが、何か真面目なので私は口を開かず黙っておく。
「君を例えると『高嶺の花』だ。だから誰だろうと、君に話し掛けるのに勇気が必要だったんだ」
「そんなことって…」
「あるんだ。わからないかもしれないけど。でも確かに、皆が君を特別視していたと言っても間違いではないかもしれない。だけど嫌われてた訳じゃないと思うんだ」
晴登が自分なりの言葉で、優菜ちゃんに伝え続ける。でも筋は通っていた。
「だって俺は、君のことを嫌いとは思わない。むしろ凄いなって思う。皆そんな感じだと思うよ、俺は」
「……」
晴登の言葉を真剣に聞き、黙って考え込む優菜ちゃん。何か感じることがあるのかな…。
「俺はそういう“見る側”しか経験したことのない普通の人間だからさ。何て言うか、君の見えないものが見えるんだ」
「……」
少し晴登が困惑してきたように見える。たぶん言葉が思い付かない上に、まずこんな言葉を人に伝えるという羞恥が今になって込み上げてきたのだろう。
少しフォローしてあげるか。
「つまりさ、私たちが友達になるよ! どうかな…?」
「……!」
途端に希望が見えたと言わんばかりの表情をこちらに向ける優菜ちゃん。
やっぱり、この子はホントに友達が欲しかったんだ。
「……ひ」
「え?」
優菜ちゃんは急に頭を下げ何かを呟いたようだが、小さくて聞き取れず、たまらず聞き返す。
「ぜひ・・・ぜひ、お願いします!!」ズイッ
「わっ!?」
しかしその刹那、優菜ちゃんの顔は私の目の前に飛んできた。キラキラとした表情を浮かべ懇願してくるその姿は、友達に作るということに必死なんだと分かる。
だけど急に近づいてくるもんだから、私は驚いてベンチの上から落ちそうになったけどね…。
でもこれで私たちは友達だ。だが嫌な気持ちは1つもない。だって日城中学校で作った初めての友達なんだもん!
だからこれからずっとずっと、仲良くしていきたい!
そんな意味を込めて、私は手を差し出しながら彼女に言った。
「これからよろしくね、優菜ちゃん!」
「こちらこそ、莉奈ちゃん!」
彼女は澄みきった満面の笑顔で私の手を握り返した。
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