第6話『邂逅』
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すか…?」
「うわ…」
晴登の“デリカシーが無い”とまでは言わないが、そんな感じな質問に私は苦笑いが漏れる。その質問はズケズケ訊くもんじゃないよ…。
私だったら「まぁまぁでした」と言って誤魔化すだろう。なんと惨めだろうか…。
「テスト、ですか…」
あぁ、この反応は悪かったということだろうか。だったら私の仲間だね。これからもよろしくね・・・
「学年で2位、ですけど…」
「「へ!?」」
莉奈ちゃんは渋るように言った。まぁ確かに渋りたくなる内容だけれども、まさかの全体2位!? つまり大地の上にいるもう1人だ。そんなに頭良かったんだこの子…。
「でも1位は取れませんでした。こんなことは初めてです」
「う、うん…」
これはきっとアレだ。強者なりの悩みというやつだ。弱者では到底理解ができないというあの・・・。
しかもこの子の言葉から察するに、恐らく小学校では1位が当たり前だったのだろう。羨ましいけど少し怖いかも。
「莉奈ちゃん達のクラスの男子が1位らしいですね。噂だと満点だとか。私はあと2点だったのに…」
「2点!? じゃあ満点の教科もあるってこと!?」
「はい。算数と理科です」
この回答を聞けば、誰もが「じゃああなたは理系なんですね」と思うだろう。だがしかし、この子は国語と社会も99点ということでとても良いのだ。こういうのオールマイティーとか言うのかな。
「お2人は?」
「え!? あ、いや……」
「その…普通かな」
ほら。私も晴登もこんな回答だ。人に胸を張って言えるような点数じゃないから…。
まぁこの人がそういう人を蔑む人じゃなくて、本当に良かった。うん、助かった。
「普通か…なんか良いですよね」
「良いって、何が?」
急に優菜ちゃんが真面目な顔になって言うものだから、私は気になって聞き返す。
「こんなこと言うとアレですけど、私って昔から何でもできたんです」
ぐっ、何か自慢に聞こえてくる…。でも何かを話そうとしてくれてるから、ちゃんと聞こう。
「おかげで周りから敬遠され、友達と呼べる人が少なかったんです。中学校に入れば変わると思っていましたけど、テストのせいでもう既に、皆の私を見る目が変わってしまいました。もし私が普通だったら皆と関わりやすいかなって…。だから・・・」
「それは違う」
優菜ちゃんの言葉を遮り、急に晴登が口を挟む。ど、どうしたんだいきなり。
「違う。皆はきっと君のことを敬遠してはいなかった。君と話すのが恥ずかしかったんだ」
「恥ずかしい、って…?」
恥ずかしいってアンタのことじゃん、とツッコみたくな
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