34話 待機
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ないトウカはきょとんとするだけという状態で、だんだんと日が陰ってゆく。オレンジ色の太陽を眺めながら座り込んだトウカの手から、むしった花の花弁がぱらぱらと落ちていった。
「のんびりしてると時間が経つのは早く感じるなぁ」
暇なのかぶちぶちと今度は草を引き抜き始めたトウカは傍目には心底安心しきった顔でだべっていた。まぁ、よくよく見れば周囲の警戒を怠っていないんだけどさ。
「……そんなもんか?」
「うん。だってボクが魔物狩りして戦ってた訳でもなく、お城の見張り番をしてた訳でもなく、勉強していた訳でもなくこんなに長い間日向ぼっこしてたのは初めてだし」
「おい、幼なじみが物言いたげに見てるんだが」
え、僕?そんな感じに見てないよ?つまり、トウカの話をしろって?そうだなぁ……。
「日向ぼっこはしてなかったけど、木の上で爆睡してたじゃないか」
「二時間ぐらいだね」
「トウカの家でだべっていたのは」
「二時間半ぐらいだね」
「何でそこまで覚えているのさ」
そんな昔のことをよくもそこまで覚えてるもんだよ……。
「ボクの記憶力を舐めちゃいけないな」
「……たまにトウカって弱点が無い気がするんだけど」
「ボクは魔法耐性が最悪だからあるよ」
「知ってる……」
でもその魔法ですら叩ききったり避けたりして殆ど当たらないんだから無いに等しいよ。まあ、ハイになると全く防御しなくなるけど。……それか。目の前で死にかけながらも笑って魔物を狩りまくることが弱点か!
……にしてもだよ、記憶力がいいならたまに僕らの目の前から消えて遠くに行くのがどれだけ迷惑なのかも覚えてて欲しいな……。
「……日が沈むのを見るとさ、何だか物悲しいね」
「僕は綺麗だと思うけどなぁ……確かに、言われてみれば悲しい感じだね」
「同じような朝日は希望すら感じるのに不思議だね」
トウカが唐突に言い出した言葉に同意し、その、オレンジ色に輝く太陽に向かって手を伸ばす姿が小さな子供みたいで少し笑う。太陽の光を浴びて、トウカの魔法の手袋から少しだけ魔力が漏れ出したようにキラキラ光っていた。もしや、と思ってトウカの髪を見てみたけど、別に何ともなくて紛らわしい。
「宇宙に浮かぶガスの塊が燃えているだけなのに、何て美しいんだろう。宇宙を動き、自転しているのは私の方なのに、この世界は何故一日が同時に来るんだろう……まさかの天動説?世界が違うしなあ……不思議がいっぱいだ」
「……どうしたの?何を言ってるの?」
「……何でもないよ。少し物理的に可笑しいと思っただけ。……そうだ、単に世界は広すぎて見つけれれてないんだよ……この半球の裏を」
「だから何を言っているの」
トウカの言っていることは難解で、訳が分からなかった。
そ
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