16話 卵
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が露見するだけなんだけど。ご先祖様がすごかったから、今のモノトリアがあるわけだし、血を引いているのは偶然の産物で、何もすごくないんだけど、聞いちゃうの?聞いても得しないよ?聞かれたからには答えるけどさ……。
それに、ゼシカさんには言ったはずだけど、私はモノトリアだけど魔法が使えない、最悪の欠陥持ちだからゼシカさんの糧になるような話なんて出来ないよ?無駄に魔法の情報を知っているけど、文字通り無駄だし。
まあ、聞かれたものは仕方がない。聞かれて、名乗った上で自己紹介をしない訳にはいかない。私のプライドをかけて、誤魔化すことは出来ない。誤魔化すということは、私がゼシカさんを信頼していないってことだから。私は、ゼシカさんを信頼しているんだ。ドルマゲスへの憎しみと言う意味で、だけど。よし、じゃあ……何時もの自己紹介をしよう。威圧感がにじみ出ているあれを。
モノトリア伝統、小っ恥ずかしい厨二台詞をな!!
「……、……トロデーンの貴族、モノトリア。王家を守る騎士。自らの『命』よりも『王家』を守り抜く。そんな古代人の末裔の、モノトリア家……長子は、私」
「……」
あれ、反応がない。モノトリアの概要を話したつもりだったけど、間違ったかな。彼女はもしかして、家の方じゃなくて、私のほうが知りたいのかもしれない。じゃあ、こっちはちょっと口調を柔らかくした、いつものをやろう。これはこれで、なんだか自傷的なんだけども。
繰り返すけど、さっきのは私の意思じゃなくて伝統なんだから……私が好き好んでやった訳じゃないんだから……。こっちはあれだ、自作の。ただ、やっぱりある程度はモノトリア伝統の形式で。……厨二っぽい。
「私は、魔法が使えない異端児。代わりに剣を鍛え上げた。剣以外にも武を重んじる一族として修練した。……そんなに落胆した顔しないでよ……代わりにボク、剣は使えるんだから」
「落胆なんかしてないわ」
「……おう。優しいね」
「あなた、解釈を間違っているわ。あたしは伝説の剣士を目前にして感動しているのよ」
「……おう?」
私、伝説の剣士になった覚えはないんだけどな……?あ、もしかして、何代も何代も前なんだけど、「トウカ=モノトリア」という強い剣士がいたっていうのは知っている。その方のことかな。そうだろうな。
あ、私も「トウカ=モノトリア」だけど……うん。彼と違って私は公式では「トウカ・モノトリア」。陛下はご存知だろうけど、実子扱いされているんだよなあ……。表記の違い、ね。
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