16話 卵
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とよりトウカは、勧誘するつもりだったのかもしれない。
それに、ゼシカさんの魔法は本当に心強い。僕だって攻撃魔法は使えるけど……正直、さっきのオセアーノンには大して効いてなかったし、やっぱり専門外なんだ。僕はなんだかんだ言っても物理攻撃がメインだしね。最近僧侶に転職しかねない勢いで回復魔法ばっかり使ってるけどさ……。交互に使うほど器用でもないから……。
・・・・
「ゼシカ・アルバートが仲間に加わりました、陛下」
「うむ、目的は兄を殺され、ドルマゲスに仇討ち、じゃったか?」
「はい」
「……それは辛かったじゃろう。わしらは誰一人死んではいないからの……姿は変わろうとも」
慈しむような、憐れむような目で陛下はゼシカを見られた訳じゃない。陛下はゼシカを可哀想だと思っているはずだけど、それをおくびにも出さずにひとつふたつと頷かれた。
「もう知っているかもしれないがの。わしや姫はドルマゲスによって姿を変えられ、城はトロデーン城は茨の呪いで閉ざされ、民は生きたまま茨に変えられたのじゃ。無事だったのはそこにおるエルトとトウカ・モノトリアだけじゃ。仲間となったからには、志を同じくする者として励むのじゃぞ」
「……あたしは臣下じゃないわよ」
……今陛下、さらっと私の本名晒されなかった?えっ、ちょっと。隠しているつもりはなかったけど……えっ。おおっぴらに私が旅をしているとは思われたくないから、苗字は極力隠しているつもりだったし、権力だって……トラペッタで使いかけたけど、えっ。
ゼシカさんならいいけど誰かに聞かれてたら面倒くさいじゃないか……一応名目上は修行の旅だけど……下手に名前がバレたら……面倒だろ……。ここは、外だけど、誰かに聞かれるはずはないけどさ……。
いざという時に動きにくくなるのは陛下や姫どころか自分すら守れなくなる。……いや、陛下にもご考えがあってのこと。疑いは不敬だ。私はトロデーン王家の全てを肯定するモノトリアだ。
「……取り敢えず自己紹介でもいたしましょう」
「そうじゃったの。わしはトロデじゃ。そこにおる、白馬に変えられてしもうたのは娘のミーティアじゃ」
姫様は足をそろえて小さくいななかれた。喋れないのは……お辛いだろうなぁ。彼女は立場があろうとも、同い年の女の子なのに。前世なら、未成年なのに。私もだって?私は別に辛くないからいいんだ。喋れるし、姿も人間だし。それ以上何を望むんだい?
「知ってると思うけど、僕はエルトだよ」
「同じくあっしはヤンガスでがす」
「……ボクはトウカ・モノトリア」
「改めて、ゼシカ・アルバートよ。ねぇ、さっきから気になってたんだけどさ、トウカのモノトリアって」
え、やっぱり聞いちゃう?私じゃなくて義父上と義母上と、ご先祖様がすごいこと
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