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トンデケ
第九話 召集
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たのだろうか。
同時に、気流が正常に戻り、天候が安定してきた。
地震や噴火もおさまり、一見すると平穏が戻ったかのようだった。




「ああっ!!」
「うわっ!!」

地下の食堂では、四方から一斉に悲鳴にも似た声が上がった。
そこに居た能力者たちだけが、両手で一斉に耳を塞ぐ。

「ビビビビ、キュイン キュイン ビービービー」

百香の耳にも何か大きなノイズが響き、たまらず両耳を押さえた。
その耳障りな音はラジオをチューニングしていくかのように
徐々にクリアになっていった。

『私の声が聞こえますか。』

突然、何者かが語りかけてきた。
その声は男とも女ともつかない、不思議なトーンであった。

『注意して聞いてください。
 今、地球にシールドを張りました。
 しかし、これは一時的なもので、いずれは外れてしまいます。』

うん? なんなのこの声は… 誰?

『これから、あなた方をこちらに集めます。』

集める? どこへ?

『心配はいりません。ここは安全な場所です。』

頭の奥がじーんと痺れ、視界がブラックアウトした。

はっと目を覚ますと、そこには様々な人種の人たちが円形のフロアに横たわっていた。

「世界中のサイキックの中でも最強の人物たちだ。」

武井がつぶやいた。およそ30名は居るだろうか。
百香たちのすぐ後ろにキャシーの姿もあった。
それぞれの場所で体を起こすと、前面の窓、いやモニターだろうか、
そこに映る青い地球に皆の目が釘付けとなった。
見ると、北極を取り囲むように光のチューブが上空へと伸びている。

『ごらんなさい。産道が全開しました。
 難産のため地球はさきほどまで陣痛に喘いでいました。
 今はシールドをはっているので地球は無痛です。
 みなさん、どうか私に力を貸してください。
 今のうちに、地球が無痛分娩できるように。』

声は直接頭の中に響いていた。
しかし、声の主はどこにも見当たらない。
産道って… 地球はいったい何を産もうとしているというのだ。
陣痛だと? 地震や火山の噴火のことを言っているのだろうか。

すると前面の画像が切り替わり、眩しい光の塊が画面いっぱいに映し出された。
知らぬ間に、目にはサングラスのようなカバーが掛けられていた。
だがそれを通しても直視できないほどの強烈な光だ。


『この光の塊を飛ばします。』

え? 飛ばすって、どこへ…

『飛ばす場所は決まっています。
 あなた方は持ちうる力のすべてを私に傾けてください。」

その時、そこにいるすべての者が悟っていた。
自分たちは、この日のために存在したのだと…。

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