第七話 姉としての責任その四
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「ウイスキーやブランデーも飲むけれど」
「そうしたお酒も飲むからね」
「そうしてるの」
こう言うのだった。
「鍋料理の時は」
「けれど今はその焼酎も」
「飲まないわ」
今は、というのだ。
「まだね」
「わかったよ、じゃあ今は飲まないで」
「おうどん食べてエクレアも食べて」
「あったかいままお風呂に入って」
「寝るわ」
ここまでだ、優子は弟に笑みを浮かべて話した。
「そうするわ」
「それじゃあね」
「優花もお風呂入るでしょ」
「勿論だよ」
すぐにだった、姉に可愛らしい少女の様な笑みで答えた。
「そうするよ」
「そうね、じゃあすぐにあがるわね」
「いや、ゆっくり入らないと」
「あったまるべきっていうのね」
「お風呂でもね」
鍋を食べることだけでなくというのだ。
「あったまってね」
「だからなのね」
「うん、お風呂はゆっくりとね」
入ってくれと言うのだった。
「そうしてね」
「それじゃあそうするわ」
「そういうことでね」
「何処に行くかは」
不意にだ、優子は急にクールな目になって言った。
「これからね」
「決めるんだね」
「何時行くのかも」
そうしたこともというのだ。
「もう少ししたら答え出すから」
「それじゃあね」
「待っていてね」
「わかったよ」
優花は姉のその言葉にも頷いて返した。
「楽しみに待たせてもらうね」
「そうしてね」
優子は今はすっきりとした顔だった、その声も。
そしてその声のままだ、勤務でもだった。
手際よく診察をしていた、その彼女を見てだった。若い女の看護士達が明るい声で優子自身に言ったのだった。
「先生何か最近明るいですね」
「ちょっと前まで暗かったですけれど」
「特に朝は疲れた感じで」
「お酒も随分飲んでましたよね」
「ええ、今はね」
優子も彼女達に明るく返す。
「この通りよ」
「普段の先生ですね」
「その先生に戻ったんですね」
「そうよ、この通りね」
やはり明るく言う優子だった。
「今は吹っ切れたわ」
「そうですね、ただ」
「本当に前の先生おかしかったですよ」
「悩んでて」
「普段の明るさなかったですよ」
「私も悩む時があるから」
何に悩んでいたかをだ、優子は話さなかった。
しかしだ、それでもと言うのだった。
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