第七話 姉としての責任その一
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第七話 姉としての責任
優子は家で優花に彼の学校でのことを聞いた、この時は二人で夕食の鍋を囲んでいた。鍋は鴨鍋である。
その鴨肉の味を楽しみつつだ、優子は弟に言った。
「お髭は生えない人がいるから」
「だからだね」
「気にすることはないわ」
「そうなんだね」
「龍馬君の言う通りよ」
まさにというのだった、真実をまだ隠しつつ。
「別にね」
「男の子でもだね」
「そう、気にすることはないわ」
「お髭で男の子かどうか決まる訳じゃないってことだね」
「そうよ、字でもね」
「そっちでもだね」
「字もね」
優子は今度はこちらの話をした。
「人それぞれで女の子でもごつい字書く娘いるわよ」
「そうなんだ」
「ええ、実際にね」
「そういうので決まらないんだね」
「そう、それにね」
「それに?」
「男の子か女の子か」
やはり真実を隠しながら弟に語った、今は弟である彼に対して言葉を慎重に選びながらそうしたのだった。
「そんなことも大したことじゃないわ」
「そうなの?」
「人間でしょ」
「人間かどうか」
「その心がね」
「性別は大した問題じゃないんだ」
「そうよ、よく男がどうとか言う人いるけれど」
優子の嫌いなタイプでもある、俗に何とかを下げた男かという言葉があるが彼は前からそうした言葉や考えが嫌いなのだ。
「それは違うのよ」
「間違ってるんだね」
「そうよ、男かどうかって言う人は大抵偉そうだったり暴力振るう人でしょ」
「そういえばそうかな」
「その両方だったりね」
つまり傲慢で暴力的というのだ。
「そうした風な人だから」
「ううん、そうした人は」
優花は姉の言葉を受けてだった、顔を曇らせて言った。
「僕もあまりというか絶対に」
「好きになれないわね」
「偉そうな人嫌いだし」
つまり傲慢な者や横柄な者だ、この辺り優花の好みは姉と同じだ。
「それ以上に暴力振るう人はね」
「嫌いよね」
「暴力とか絶対に駄目だよ」
「いるわね、奥さんや子供や生徒に暴力振るう人」
「生徒、学校の先生だね」
「そうよ、学校の先生は多いのよ」
眉を曇らせてだ、優子は優花に話した。
「肉体労働の世界にもまだあるみたいだけれど」
「先生は特になんだ」
「指導っていう理由で体罰が許されてきたから」
だからだというのだ。
「それで暴力がまだ残っているのよ」
「生徒を殴ったりだね」
「それも極端にね」
「その話僕も聞くけれど」
「中にはそっちの筋みたいなことする人いるわよ」
所謂極道の世界である、ただしその世界の人間は常に世間から監視されているが学校の教師は『聖職者』と崇められていた。
「それでも公にならないし」
「そうしたことする
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