第41話
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『…………』
その地は異様な空気に包まれていた。
連合に追われる董卓と軍師の賈駆。そんな二人を罠に掛け、計画の一部として董卓を誅殺しようとした商人の男、その私兵百人。彼等が動こうとした瞬間、ソレは現れた。
御輿、今の状況には現実離れした代物。
黄金の宝飾がふんだんに使われソレ一つで小さな領地が賄えそうだ。また、上に乗っている美丈夫も現実離れしている。
金色の長髪が風に揺れ、太陽を背にしているからか輝いて見える。恐ろしいほど端整な顔つき、口角は上がっているが不快感を感じさせず、鷹のように鋭い瞳。
「……ッ」
息が詰まるような緊張感。その地に居た者達の目と耳には、色彩と他の音が消えていた。
それほどまでに強烈な存在感を放ち続けている。
「これは一体、何事ですかな?」
誰もが思考停止している中で流石と言うべきか、言葉を発したのは商人の男だ。
彼としては不測の事態を、さっさと片付けたいだけだったが……
そんな彼の言葉を受け、御輿に乗っている美丈夫が担ぎ手に何やら合図を送る。
少しして御輿を担いでいた二人の女性が歩み出た。担ぎ手の人数は減ったが、筋肉隆々の男が六人残っているので問題は無さそうだ。
改めて歩み出た二人に注目する。一人は大刀を担いで不敵な笑みを浮かべ、二人目は大槌を手に持ち―――悲観的な表情。賈駆は何となく彼女に親近感を抱く。
そして兵士達に近づいた二人が―――口を開いた。
「な、なんだかんだと聞かれたら!」
「答えてあげるのが世の情けだぜぃ!」
「大陸の破壊を防ぐため」
「南皮の平和を守るため!」
「……愛と真実の正義を貫く」
「らぶりー・ちゃーみーな女房役ぅッッ!」
「…………顔良」
「文醜ッッッ!!!」
「………………天下を駆ける二枚看板の二人には」
「天の陽光、輝かしい明日が待ってるぜェェェッッッ(イヤッフー↑」
「うぅぅ……にゃ、にゃーんてな☆」
『…………』
二人と兵士達の間に風が吹いた。
「ほ、ほらぁ! やっぱりこんな空気になったじゃないですかぁっ!!」
「フハハ! 皆二人の口上に臆したのだ!」
「そうだぜ斗詩ぃ特に最後が良かった。あー、もう一回言ってくれ」
「絶対に嫌!」
唖然とする者達を尻目に、御輿の集団は騒ぎ始めた。
盛り上がる袁紹と猪々子を他所に、斗詩は瞳を涙で潤ませる。
簀巻きにした猪々子を誑かし、御輿で飛び出そうとした現場を発見したのは斗詩だ。
その暴走を止めるべく、彼女は努力したが――
『あ、そうだ。斗詩も一緒に来ればいいじゃん
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