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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十九話 来訪者(その3)
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中将が厳しい表情をしている。
「フレーゲル男爵は死んだのです。この後、フレーゲル男爵に似た人物がフェザーンで見つかるかもしれません。しかしそれは良く似た他人です。その人物には間違ってもフレーゲル男爵の名を名乗って欲しくないものです。そのときはフレーゲル男爵の名を騙る偽者として処断する事になりますから……。ブラウンシュバイク公、遺体をお引き取りください」
中将は死んだということにして男爵を逃がそうとしている。皆何も言わない。ラインハルト様も困惑した表情のままだ。やがて、ブラウンシュバイク公の部下がフレーゲル男爵の“遺体”を運び出した。微かに中将に対して目礼をしていくが中将は知らぬ振りだ。
「ヴァレンシュタイン」
ブラウンシュバイク公が声を発した。こちらには背中を向けている。
「わしは卿に礼を言わぬ。甥を殺されたのだからな。だが、卿が此処にいたことには感謝している」
「……」
「だが、それも今日だけだ。明日からは違う。卿はわしの敵だ」
「……」
「それから少しは酒を飲めるようになっておけ。人は時には飲みたくなる日も有る。わしは帰ったら少し飲むつもりだ。」
「……」
ブラウンシュバイク公はそれだけ言うと帰っていった。
「中将、あれで良かったのですか。フレーゲルを生かしたままで」
「公式にはフレーゲル男爵は死亡したことになります。フェザーンへ追放してくれるなら問題ないでしょう」
ロイエンタール少将の問いにヴァレンシュタイン中将が答える。
「それにフレーゲル男爵を殺してしまうとブラウンシュバイク公の心が折れかねません。そうなると公爵が自暴自棄になりかねない。そちらのほうが危険です。我々はまだ、彼らと正面から戦えるほど強くは無いんです。不満は持たせても怒らせてはいけません。まあミッターマイヤー少将を助ける事は出来たのです。それでよしとしましょう。この辺が落としどころです」
ヴァレンシュタイン中将は正しいのかもしれない。しかしラインハルト様はどうお考えだろう。不満は持たせても怒らせてはいけません。確かにそうだ。その言葉は敵だけではない、味方にも言えるのではないだろうか……。
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