第五話 帝国以外の敵と接触する
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る古参兵士は、言葉をかける。
「嫌とは言えないよな。貴族様の命令は絶対だし、逆らって剣で殺されるか、命令を聞いて銃弾の雨でハチの巣にされるか。どっちにしろ死んでこいって事だな」
「俺、アカツキ帝国の生まれでよかったと思いますよ。」
「俺もだ」
あんな銃弾の雨の中で、生身で突撃するなんて冗談じゃないと思う。だからといって敵に同情する理由もない。彼らからすれば身勝手な理由で戦争を仕掛けたのは帝国でもあるし、俺達は正当な理由で戦争をしているのだと思う事にしたのだ。
それから一時間後。敵の攻勢は収まり、アカツキ帝国の勝利で終わった。そこには無残に敗れた敵兵士達の死体が転がっていた。比較的綺麗に原型を留めている死体は殆どなく、殆どが砲撃の衝撃で腕や体が吹き飛ばされて肉片となっていたり、腕や首だけのものもあったりなど、無残な光景の死体の山が築かれていた。
「大尉」
「いうな」
戦死した敵兵士の死体処理に駆り出されているのは、島田義弘 陸軍大尉である。趣味はアニメ鑑賞と漫画といったインドアな趣味の陸軍大尉で今年で35歳となる。三年ほど前に結婚して、今年になって子供が生まれ、少しお金を増やしたいという事もあり、ファルマート大陸遠征では特別手当が出るので、今回の遠征に参加したのである。
「何度も思いますけど、この世界の連中は本当に狂気じみてますよね」
「まあな。気持ちは分からなくもない」
部下である清水 孝 陸軍伍長。隊長の島田と同じ趣味であると同時に上下関係をあまり気にしない島田の気質もあり、親しく喋っている。
「早いとこ仕事を終わらせるぞ」
「了解です」
装備されている甲冑や剣や槍といった武器や防具に、個人的な持ち物を分けた後に、埋葬地に死体を持っていく。比較的綺麗な死体は埋葬で済まされるが、殆ど原型を留めていない死体は、火葬で燃やしていた。いくら敵対しているとはいえ、死体の片づけなどやりたくもないが、死体をそのままにしておく事も出来ないので、仕方ないといった感じに死体を片付けていく。
「ん?」
死体とは思えない綺麗な状態で残っていた女性が仰向けで倒れていた。ショートヘアーの銀髪の綺麗な女傑風の女性だ。
「かわいそうですね。戦争がなかれば、良い人生も送れたでしょうね」
「運ぶぞ清水」
「了解です隊長」
そして女性の体を持ち上げようと思った時であった。
「う……」
微かに声が聞こえた。
「清水。何か言ったか?」
「いえ、自分は何も」
再び銀髪女性を見る。そして、女性の心臓当たりの胸に耳を置いて確認する島田。心臓がドクンドクンと鳴る音が聞こえたのだ。
「生きている!」
「隊長!」
「ああ、衛生兵を呼んで来い
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