第3章 リーザス陥落
第85話 決戦・ヘルマン第3軍
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う、ガイヤスも全てわかっていた。
目の前の男、トーマが何を考えているのかを。
「いえ、お供します」
だからこそ、言葉は少ない。自らの肩書きは、大隊長。だが、それも最早この場では意味はなさないだろう。今いるのは、ただの軍人。……憧れ、そして信頼しきっている男と共に行く。……最後の最後まで、共にゆく。それしか考えていなかったから。
だが、それでも 最後の一線を簡単に超えるとは思っていない。
冷静な大隊長ガイヤスは、端的に、それだけに覆すことはない強さで、トーマの側近として、その傍に。自分の居場所として、固辞をしていた。
そんな時、だった。
「…………なに、してんのさ……」
突如、なにも無かった筈の場所に、誰かが現れた。
黒い髪、鉄の腕、……そして 額のクリスタル。
「ハンティ。……ハンティ・カラー………」
そう、戦場に降り立ったのは、ハンティだった。
ヘルマンでは、いやこの世界では、知らない者などいない、とも言われているヘルマンの豪傑、トーマが率いる軍を敗戦へと追いやった事態が、パットンの傍にいる、と決めていた決心にヒビを入れたのだ。
そして、現状を目の当たりにした。
――睨む様な、責める様な、縋る様な、惜しむような。
そんな視線に、複雑な色を織り交ぜて、ハンティはただ、佇んでいた。
「…………」
パットン皇子の乳母ハンティ、そして教育係として、父親替わりであったトーマ。
それを抜きにしたとしても、2人には親交がある。……そんな二文字だけでは、表せれない程の絆が2人にはある。
それを知っているからこそ、ガイヤスは何も言わず、場を憚り、解釈をしてそこを離れた。 だが ハンティには、ガイヤスの姿など、最初から見えてはいない。
「どうして、リーザスに戻ってこないの。こんな、こんな小勢で………」
なぜ、ここにトーマがいるのか、それを訊かなければならないからだ。
絶望、とも言える戦力差の中で。
そんな言葉にトーマはゆっくりと答えた。
「他に兵は割けん。……北方も旗色は悪いのではないか?」
洗脳から解かれた青の軍。
堅牢な部隊として名高く、リーザスの青い壁と称される猛将コルドバが率いている部隊だ。安易な配置で崩せる筈もなく、そのことについては、トーマ自身にもわかっていた。
そして、ハンティも決して偽る事はしない。
「ああ。……盛り返されたって。青の軍だけじゃない。……今は解放軍側にいる事が明確な白の軍だけど、多分その別部隊だろう。そいつらが合流。更に動き回ってる。……ここを目指して、ね……」
それを訊いて、トーマは思わず苦笑を漏らした。
「……思った以上に悪いも
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