第3章 リーザス陥落
第85話 決戦・ヘルマン第3軍
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『トーマ様は、そんな事は、安易なことなんか、しないっ!! 魔人は、上の……っ。上の判断っ……! で、でも 今までは全部、全部考えて、その上で、上に意見もしてっ……! ヘルマンを、これまで 支えてきたんだっ!! 何十年も、ずっと、ずっと支えてきたんだっ! だ、だから……あの、あのおかたには、必ず考えが、なにか、なにかがあるハズなんだっっ!!』
説得力の欠片もなかった。
だが、ユーリにとってもそれだけでも良かった。
セピアは、これまで遭遇してきたヘルマン側の兵士とは毛色がまるで違う。どんな命令にも、国の為に、従う、それが軍人だ。だが、時として その命令を曲解し やり過ぎる者達も出てくる。欲望のままに、蹂躙する者達も出てくる。……そんな者達が多かったが、セピアは違った。良心も併せ持っている様だ。今回の作戦。……魔人に頼った侵略についても、疑問をもっている。
フレッチャーやヘンダーソンとはまるで違った。騎士道精神も持ち合わせている。
『……そうか』
だから、ユーリはこれ以上はセピアに訊いても無駄だと悟った。
ただ、盲目に信じているだけではない事も感じた。これまでに、ずっと セピアの様な若い兵士達を支え続けてきたのだろう事も、事実だと判る。
ハンティの友だから、と言う理由も大きいだろう。
だから、それ以上はなにも訊かず、ユーリはセピアを眠らせ 当初の予定通り 彼女を解放したのだった。
〜リーザス領 ノースの町 近郊〜
場面は修羅の場に戻る。
どれだけ考えても、判らないだろう。……答えはでないだろう。
――本人と相対するまでは……。本人の、眼を見るまでは……。
〜ノースの町・近郊《ヘルマン側》〜
「…………………」
今日も空一面は、青一色。快晴、とはこのことを言うのだろう。
ヘルマンの国からは 見えない景色、空模様だった。戦場であったとしても、空は、何処からであったとしても、変わらない。そう思っていたのだが、今 認識が変わった。
長く……、長く……、戦い続けてきた歴史の中で 初めての感覚。そして 人が見れば呑気だといえるだろう。もう目と鼻の先に迫っているであろう緊迫した場で、悠長に空を眺めている事など……。
「将軍。配置は、終わりました。……これで、よろしいのですか」
ガイヤスは、トーマに報告をした。
全ての兵士達の配置。……それは、これまでの戦い 第3軍の規模を考えたら、心許ない程の少数である兵士達だ。それらを配置する事など、時間は掛からなかった。ただただ、思うのは、トーマの決定に関してだった。いや、それも違う。
「お前こそ。付き合う必要はないのだぞ」
そ
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