第3章 リーザス陥落
第85話 決戦・ヘルマン第3軍
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て超える男。如何なる戦においても正々堂々、正面切ってたたきつぶす。避けるまでもなく、正面から全てを受け止め、全てを返す。
――……そんな男が取った手段が、コレ、……か?
それは、ノースに配置した数、少数に絞ったことに対しての話ではない。
……これまで戦ってきた中での事であり、清十郎の言葉を借りるとすれば、《解せない》最大の部分だった。
〜レッドの町 宿屋 不誠実《ホッホ峡の戦い前日》〜
ホッホ峡での戦いの前日。
セピア・ランドスターを捕虜にし、トーマについて ユーリは訊いた。
『トーマについて、だ。話を訊くと心底信頼している事は判った。人類最強と称されるヘルマンの豪傑だ。ある程度は知っている。だが、それはあくまで、訊いた限りの話だ。……その本当の性質は知らん。お前はどう思うんだ? お前には、トーマは、どう見える』
そのユーリの問いを訊いて、セピアは即答した。
『トーマ将軍は、ヘルマンの象徴だ! 心技体の全てを兼ね備えたお人。決して驕らず、自ら最前線に常にたち続けている』
セピアの淀みない言葉に、それが虚言のたぐいではない事は、即座に分かった。
判ったからこそ、ユーリは更に言おうとするセピアを遮る様に、言う。
『なぜ、それ程の男が、魔人と手を結ぶ? ……そんな、人類にとって これ程相応しい絶対敵と手を組もうと考えた?』
『ッ……!』
ユーリの言葉に、セピアはなにも答える事が出来なかった。
『……確かに、魔の者を味方につければ、圧倒的に有利だ。その時点で勝負あり、といっていい。……たった、数人で国を落とす事だって出来る。それが魔人だからな。例外はあるが、大多数が人間をゴミ屑の様にしか思ってないとも言える存在だ。人間に情け等かけないだろう。……その心技体が揃った誇らしい男、トーマは、人間の戦いに、そんなものを組み込んだ。捕虜の扱いを謳っている事も含めてだが、人道とやら、そんな事を、ヘルマン側に言えるのか? ……相手は、そんな事は考えてくれないぞ。……ただ、嬲られる、それだけだ』
そこまで言った後、ユーリはセピアの目を見据えた。
『それでも、トーマは。トーマ・リプトンは、正しい選択をしたと思っているのか? 強大な力を、人間では御しきれない存在を使ったら、自国が、自身の部下たちの身も危うい可能性が高い。その程度の事を考えられない男なのか?』
『っ……、と、トーマ様は……、トーマ様は!!』
セピアは、言葉を 説得力のある反論をしようと思ったのだが、言葉がまるで見つからない。だから、醜くても、ただただ 足掻く。子供の様に感情をぶつけるだけだった。
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