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ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第85話 決戦・ヘルマン第3軍
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「それにしても、……たった100、……か」

 フェリスの言葉を訊いて、ユーリは考える。

 情報通り、ヘルマン側は二手に分かれている様だ。それは間違いない。
 だが、ホッホ峡の戦いの規模を考えたら、迅速に退いていった部隊、目算ではあるものの、その規模を考えたら、どうしても数が少なすぎる、としか思えない。
 そして、迎え撃つにしても、ノースの地形では、利を活かす事は出来ない。間違いなく数が多い方が圧倒的に有利だろう。

 それでも、数を割く理由があるとでも言うのだろうか。

 清十郎もその違和感は当然もっている。

「……解せんな」
「ああ。だが相手側の慢心、と言った類でも有り得ないな。向こう側は、オレ達に圧され、退いたも同然だ。戦術的撤退と言う言葉もあるが、それでも胸中は穏やかじゃない筈。……それに、向こう側の最大の強みの1つ。フェリスにも見てもらったが、魔人の気配も、どうやら無い様だ」

 清十郎も敵兵力を訊き、不穏な気配を感じた様だ。それは隣にいるリックも同様。

「魔人ではない、のであれば…… 彼らの強味は最早 1つしか無いでしょう。ヘルマン側が持ち得る最大の戦力。魔の力ではなく、人。……強国ヘルマンの象徴とも言える人物」

 リックの言葉に、ユーリも清十郎も頷いた。


――第3軍の将、人類最強と称される男がいる。


「……成る程な、血湧き踊る、と言うものだ。ここからが修羅……。地獄廻り。その入り口か」
「ええ、間違いはありません。かの将軍が率いている者達は、全てが強者でしょう。……弱者は有り得ない精鋭ぞろい。兵達ひとりひとりが、一騎当千の猛者と思って良い程の手練です」
「オレもそれは感じている。……何処か、これまでの戦場とは空気が一味も二味も違うからな。それに、リックがそういうのだから、間違いないのだろう。……くく、肩透かしはなさそうだ」

 清十郎は、僅かに震える手を見て 握り締めた。そして、リックも己同様に赤い剣、バイロードに手を強く掛ける。
 ここから先の敵の強さ。それを2人は肌で感じ取ったのだろう。 これまでの軍の兵士よりも明らかに練度が違うであろう事。フレッチャーの部隊は勿論、そして ホッホ峡の敵よりも。――……兵士のひとりひとりの力がまるで違う。つまり、少数精鋭同士のぶつかり合いだ。

 後は――、ただぶつかるだけだ。己が信念を剣に込めるだけだった。解放軍の勝利を信じて。

 
「トーマ・リプトン………」

 ユーリは相対するであろう男の名を口にした。
 
 そう、人類最強と称される男の名は、トーマ・リプトン。

 その武勲は、軍人でなくとも、非常に有名である為、よく知っていると言うものだ。老いても尚、まだ健在。寄る年波をも笑っ
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