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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十八話 来訪者(その2)
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うのに、あの愚か者めが」
また一口、ブランデーを飲む。俺には止められない……。
「……」
「わしにも責任はある……。あれを甘やかしすぎた。あれの母親はわしの妹でな。あれを産んだ後、体を壊し死んだのだ。父親もあれが幼いときに事故で死んだ。それゆえわしが面倒を見てきたのだ。わしには男の子がいなかったからな、つい甘やかしてしまった。せめて卿の半分でも器量があれば……。上手くいかぬものだの」
最後は自嘲するような口調になった。権力者の声じゃない。不出来な息子を嘆く父親の声だ。この男はフレーゲルを愛している。そして哀れんでいる。フレーゲルの運命は決まった。
「暴走したものがいるとは限りますまい。小官の杞憂ということも有ります。調べを待ちましょう」
「うむ」
気休めにもならない事を言っていると思うと自己嫌悪に落ちた。そしてその言葉に一縷の望みを託すブラウンシュバイク公がいる。
ドアが開いてシュトライト、アンスバッハ、フェルナーが入ってきた。
三人とも表情が硬い。よくない兆候だ。
「どうであった、シュトライト」
すがるような声だ。
シュトライトが表情をゆがませた。
「閣下、残念ですがフレーゲル男爵の行方が確認できません」
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