暁 〜小説投稿サイト〜
トンデケ
第八話 地下都市
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
した。結構速い。
上を見上げると天井には昼間の空が映し出されている。
ちゃんと時間経過に伴い色が変化するのだそうだ。

5分ほどでホテルの入り口に到着。
無人のフロントでカードをかざす。これでチェックイン完了。
出てきたレシートには、「Ladies' Room No.215」と書いてある。
壁にはエレベーターの扉がロビーをぐるっと取り囲むように並び、
受付の裏には自販機や背中合わせのベンチも見える。

赤い女性マークが付いたエレベーターの前まで来ると
武井が指先で案内しながら言った。

「ここは宿泊エリアです。これが女性用エレベーター、そっちが男性用、
 あそこからはファミリー用です。
 私は女性用エリアには入れませんので、ここから部屋まではお一人でどうぞ。」
「そうなんですか?」
「ええ、宿泊エリアは特にセキュリティーが厳しくてね。
 予め申請しておかないと他のエリアへは入れないんですよ。」
「そうなんですね。」 
「まあ、女性や子供に配慮してってことなんでしょうが。
 これじゃあ、デートもままならないな…。」
「あら、武井さんにそんな(ひと)いるんですか?」
「ええ? いやいや、あなたの気持ちを代弁したんですよ。」
「ええ?」
「もぉ…、隠したって無駄ですよ。」
「はあ?」
「それじゃ、私はここで待ってますから荷物を部屋に置いたら、またすぐ戻ってきてください。
 後で愛しの博士に会わせてあげますからね。」
「やだぁ、武井さんたらぁ〜、何言ってるんですか〜」
今更照れている百香に武井は苦笑するしかない。

(そうか、ここからは男性は入れないのね。
ということは、武井さんの突撃訪問も防げるってわけだ、助かったぁ…。)
百香はエレベーターで二階へ上っていく。
館内の案内図を見てみると、最下層にはスパやシャワールーム、
食堂、コンビニなどもあるようだ。

エレベーターを降りると、通路を挟んで
両側には部屋の入口らしい四角い枠が整然と奥まで続いている。
百香はスーツケースを引きずりながら長い廊下を歩いていく。
取っ手に固定したキャリーバックから摩周の声がする。
「もうすぐだからね。」摩周に声をかけ頭を上げると、
視線の先で215号室のランプが点滅しているのが見えた。
「ああ、あそこか。」
百香は点滅するドアの前に立ち、カードをかざしてロックを解除した。
自動ドアがすーっと開いて、室内の照明が一斉に点いた。
向かって左には小さなデスクと椅子、右にはセミダブルベッドが置かれていた。
振り向くとベッドの足元の壁に薄型テレビがついていて、
ヘッドホンを使用するよう注意書きがある。
どうやら、部屋の壁は防音仕様ではないようだ。
よく見るとデスクの下にはキューブ型のミニ冷蔵
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ