―女の話―
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ンスターには出来ないが、まだ可能性を残すことも出来る。
「私は《高等儀式術》を発動! デッキから通常モンスターを素材に、《サイバー・エンジェル−韋駄天−》を儀式召喚!」
降臨するは三体目のサイバー・エンジェル。その効果は墓地の魔法カードを回収する効果であり、もちろんドローという『可能性』を掴むべく、明日香は《貪欲な壺》を選択する。発動の為の墓地コストは《高等儀式術》の効果で墓地に送られており、発動すること自体は容易であった。
「魔法カード《貪欲な壺》を発動!」
デッキトップから二枚のカードをドロー……だが、明日香には半ば分かっていた。逆転の一手などデッキには残っていない、ということを。
「……私は……」
ドローした二枚のカードではレイを救うことの出来ない。それを突きつけられた明日香は、ふと弱音を吐きそうになる口をせき止める。……ただ、諦めないという心だけでは目の前の状況を変えることが出来ない、というのもまた変えられない事実であり。ピクリとも動かないレイを見据えながらも、明日香は何もすることが出来なかった。
「でも、まだ……!」
「明日香!」
……それでも、まだ口だけは諦めようとしない明日香に対し、《霧の谷の神風》のフィールドの奥から声がかけられる。その声は《祝福の教会−リチューアル・チャーチ》の扉を開け、デュエル場へと足を踏み入れた。
「……遊矢?」
「明日香……っ。これを!」
肩で息をした青い制服を着た青年が、《祝福の教会−リチューアル・チャーチ》の内部を見るとともに、何が起きているかを瞬時に悟ったらしく。ナンバーズ二体を前に操り人形のように立ち尽くす明日香に、苦々しげな表情で一枚のカードを取り出すと、明日香にそのカードを投げ渡した。
「黒い……カード?」
受け取った明日香がカードを見てみると、漆黒に染まった何も描かれていないカード。モンスターや魔法、罠でもなく――黒い、というだけならエクシーズモンスターに近い。
「ナンバーズのカード。強く念じれば、お前の……お前の心のカードになる」
「私の……カード」
それは以前倒したミスターTが持っていたカード。何も描かれていないカードであり、人間の心を写し新たなナンバーズとして生まれ変わる。
「頼む……レイを、助けてくれ!」
「……ええ。私は《機械天使の儀式》を発動!」
恥も外聞もないとばかりの遊矢の頼みを聞き、明日香は一度は折れそうになった心を立て直す……レイを助けたい、という思いは変わらない。ひとまずその漆黒のカードをエクストラデッキに移すと、明日香は一枚のカードを発動する。このカードが明日香自身のカードとなるならば、どのようにして召喚するかは自ずと彼女には理解出来た。
「
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