マザーズ・ロザリオ-Fly me to the sky-
第百三話
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グループなの。だから、あんまり気兼ねしなくても……」
確かに、あんまり言いたくない気持ちは分かるけど――と続いた一連の里香の言葉だったが、申しわけなさそうに虹架は首を振る。それは里香の言うことに感謝しながらも、固い意志で拒否している証であり。
「……分かったわよ。誰にも言わないわ、約束する。だけどあんたの遠慮は、あたしたちには必要ないと思うから」
「うん。ありがと」
一緒にあの《聖剣エクスキャリバー》入手クエストに行ったり、ショウキが振るう新たな得物である日本刀《銀ノ月》を共に制作しても、必要以上に熱烈に歓迎されたとしても。。虹架は――レインはいつも、どこか申し訳ないように、一歩身を引いていた。会ったばかりというのを差し引いても、だ。
ったく変なところ生真面目で――と里香は心中で思いながら、虹架の前にある巨大なストロベリーパフェを見据えた。この店の看板メニューということで知ってはいたが、いざ目の当たりにすると威圧感すら感じる。どこから食べていいか分からないほどだ。
「さっき珪子が凄い苦戦してたけど、よく食べられるわね。それ」
「えっ!? えっと……ライブが終わったら食べるようにしてたら、食べ慣れちゃって」
しかし虹架が食べていたそれは、まるで当たり前のように減っていた。虹架がパフェを食べるにあたって、最適解たるスプーンの差し込み方をしており、それはもはや芸術的なようでもあった。ただしそれはともかく、里香は気になっていたことを一つ問うた。
「……それ、太らない?」
『太りませんっ!』
――対面にいる虹架だけではなく、神妙に話を聞いていた珪子までもに叫ばれていた。
「んー……」
それからしばし歓談をしてから別れ、里香はレプラコーンの妖精《リズベット》として、妖精たちの世界《アルヴヘイム・オンライン》を訪れていた。店内に設えらていた、揺れる椅子でログアウトしていた身体を起こし、身体を伸ばしながら武具の注文を確認する。
「あら」
しかし武具の注文はなく――正確には、注文されていた作業は全て終わっていた。どうやらこの店にいるもう1人のレプラコーンが、先にログインしてこなしてしまったらしい。店の仕事を任せられるまでに成長した、あの侍のような助手を誇らしげにしながら、リズは店のカウンターへと歩を進めた。
きっと『彼』がいるだろう。シリカにあれだけ言われた訳だし、今度のデートの話でもしようか――と考えながら、リズは裏から店のホールに続くドアを開いた。
「リズ」
そこには短く挨拶をしてきた、予想通りの彼――ショウキの姿と。
「あなたがこのお店の店主? ちょうどいいわ、お会いしたかったの!」
――青い服を着た銀髪の幼女がいた。これだけ
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