暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
マザーズ・ロザリオ-Fly me to the sky-
第百三話
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よりさん!?」

「ちょっ……大丈夫!」

 唐突にダイナミックな転倒をした友人を心配して駆け寄ろうとしたが、ひよりはそれよりも早くに教室へ走り去ってしまう。その表情は転んだ苦痛よりも羞恥に顔を赤らめており、里香はそれでひよりに何が起きたのかを悟る。

 ちょっとジャンプして空中に舞うその動作。それは妖精たち――となったプレイヤーたちが、空中に飛翔する際の動作と同じであり。

「あー……やっちゃったのね、ひより……」

 ――あいにくとこの現実世界では、あの妖精の世界のように翼が展開することはなく、そのまま重力に縛られて落下するだけなのだが。

「ふわぁ……」

 そしてSAO生還者支援学校の最寄り駅から数駅、三人はイチオシの甘味所で舌つづみを打っていた。よく風が通る場所に設えられたガーデンで、最後に運ばれてきた巨大なストロベリーパフェに感激していた。

「……まさか、それを頼むとは思ってなかったわ。あ、飲み込むまで答えなくていいわよ」

「あはは……直葉や明日奈さんも来れると良かったんだけど」

 来る前に他の女性陣にも声をかけていたのだが、どうにもどちらも都合がつくことはなく。特に明日奈は最近忙しいようで、彼女がいいところのお嬢様だということを、他のメンバーに再び実感させていた。

「でも本当に美味しいです里香さん。ありがとうございます!」

「それくらいお安いご用よ」

 慎重にどこから食べようか、巨大なパフェを前にして吟味する珪子を見ていれば、幸せそうでそれくらいはお釣りが来る――などとは言わないが。里香自らも頼んだ抹茶ぜんざいを摘んでいると、どこからか音楽が聞こえてきた。

「……歌?」

「あ、あそこでストリートライブしてますよ!」

 パフェの牙城に突貫する前の珪子が、流れてくる音楽の発信元を見つけだした。つられて里香にひよりもそちらを見てみると、確かにそちらで歌っている少女の姿が見える。

「へぇ……いい歌じゃない」

「ええ。どこか七色の歌に似てて」

 最近、お互いにファンである歌手のCDを交換しあっているひよりと里香は、確かにひよりの言っていることが理解できた。里香がファンである神崎エルザよりも、ひよりイチオシの七色・アルシャービンの歌声にどこか似ている。

 加えて一生懸命な歌い方で、街角を歩いていた人も少し足を止めていた。……でもそれだけであり、数秒足を止めた後は慌ただしく歩いていってしまい、最初から最後まで聞いていった客は少なかった。

「私たちと同じくらいの年齢なのに凄いですね……」

「え? そうなの? こっちからはよく見えないんだけど」

 三人も甘味を食べながら聞いていたが、里香には少女ということしか分からなかった。そうなれば、ど
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