2部分:第二章
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調子の眉の下にカマボコを寝かしたような形できらきらと光る黒目がちの目であった。それがかなり奇麗であった。
「何だ。何かと思えば」
政之はその彼女を見ても平気な顔で言うのだった。
「美人じゃないか。どんな化け物かって思ったら」
「私を見ても平気なの?」
「何がだい?」
彼女が怪訝な顔で問うてきてもやはり平気であった。
「私を見ても。普通は」
「ああ、あんた幽霊だろ」
またしても平気な顔で彼女に言ってきた。
「そういうことだろ?わかってるさ」
「わかってるのならどうして平気なのよ、そんなに」
「普通は察しがつくものさ」
政之は平然として答えた。
「テレビから出て来た時点でな」
「何となく演出狙ったのよ」
幽霊はむすっとした顔で政之に答えた。
「全然驚かないし」
「こんなので驚く奴もいないしな、今頃」
大抵は驚くが彼は別なのだった。
「少なくとも俺はな。そうだよ」
「随分肝っ玉が太いのね」
「それについては自信があるさ」
政之はまた平然とした顔で答えてみせた。
「学校にいた暴力教師をマスコミに通報して社会的に抹殺してやったこともあるしな」
「強いわね」
これには幽霊も驚いた。政之の神経の太さにだ。
「少なくとも敵に回したら怖いタイプね」
「褒めてくれて悪いな。しかし一つ聞きたいんだけれどな」
「一つって?」
「あんたの名前だよ」
政之は幽霊の顔を見て問うのだった。
「何ていうんだ?聞いておきたいんだけれどさ、これからずっと一緒に住むんだしな」
「幽霊に名前聞くの?」
「だから一緒に住むんだろ」
そこをまた言う。
「それだったら当然じゃないか。そうだろ?」
「こんな人はじめてだわ」
幽霊は自分の名前を聞く政之に対して呆れていた。今までこんなことはなかったからだ。少なくとも彼女がはじめて会ったタイプである。
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