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アインクラッド篇
movement U 絶望と希望の二重奏
アスラ戦 其之一
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屋全体を襲う。そして………

「あ!アイツ!」

一人がその衝撃で転倒した。当然、アスラがそんな隙を逃す筈はなく……

「ヒッ、ギャアァァァァ!!!?」

無数の武器がそのプレイヤーを捉え、容赦なくHPを削り取る。あっという間にイエローに達し、レッドゾーンに突入し、いっそ呆気ないほどにゼロへ。

「……あ、」

そのプレイヤーは、何が起こったのか、最後まで理解することが出来ないまま、その体を無数のポリゴン片へと変えた。

一拍おいて

「う……うわぁぁぁぁぁぁ!!?」

あちこちで悲鳴が上がった。混乱し、動きが止まる中、さらに二人の犠牲が出た。それが、決定打となった。そこら中で、転移脱出する者が続出した。

「……完っっっ全に戦線崩壊したな。で、どうすんだ?」

ヒースクリフに訪ねる。オブラートに包んだが、要は撤退するかと聞いている。

「残念だが……撤退はできないな。」

「おいおい……本気か?」

「無論だとも。ここで退けば、攻略組全体の士気に関わる。」

「………はぁ、分かったよ。じゃ、どうすんだ?」

先程と同じ質問だが、意味は違う。さっきのは撤退するかどうかだが、今回は方針を聞いている。

「フム………アマギ君。君にあの腕の半分を任せたいが………どうかな?」

一瞬、何を言われたのか理解出来なかった。

「おーおー、無茶苦茶いってくれるねぇ。」

「何、君の切り札を切ればそれくらいどうとでもなるだろう?」

「………何処まで知ってる?」

幾分かの殺気を込めた問いに、しかしヒースクリフは、飄々として答える。

「フッ、私も夜中にこっそりレベル上げするタイプでね。」

「あらら、見られてたの。俺の索敵に反応するはずだけど?」

「いや、偶然見かけてね。アルゴ君に尾けてもらった。」

「………あとで口止めしないとな。」

「まぁ、そんな訳だ。頑張ってくれたまえ。」

「お前、俺の切り札見るためにこんなことさせるわけじゃあないよな?」

「勿論だとも。流石にそんな真似はしない。」

「………ホントかよ。」

とにもかくにも任された以上は仕方ない。ステータスを呼び出し、少し操作する。指を一振りして消すと、ブラッドクロスを構え直す。

「まぁ………何とかなるだろ。」

いつものセリフを呟き、石造りの床を蹴った。
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