6部分:第六章
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第六章
「そこまでするなんて」
「凄いですよね」
「まあそれはね」
凄いというのは否定できなかった。
「ある意味においてね」
「だから僕も」
「死ぬのね」
「僕は死にませんよ」
今度はこうも言うのであった。
「絶対にね」
「ああ、それはわかったわ」
今度の彰人の言葉は日和にもわかった。
「百一回目のプロポーズよね」
「はい、ですから本当に」
「まあ。人間死ぬのは一回だから」
何を言われても彰人はここで死ぬのだと思っているのであった。
「苦しいのは一回だけだからね。それだけは安心しておいて」
「それはそうとして」
「手遅れだからね」
死ぬのは、という意味である。
「行きましょう。地獄にね」
「はい、喜んで」
日和の言葉を聞いているのかいないのか相変わらずの調子で彼女の家に入る彰人であった。そうして家に入るともう玄関に彼が仁王立ちしているのだった。
「小僧!」
いきなり彰人に対して叫んできた。
「話は聞いているぞ!」
「聞いているぞってちょっと」
今の健一の言葉に日和もその口をあんぐりとさせてしまった。健一の後ろでは組の者達はおろおろとしたり慌てふためいた顔で動き回っていた。
「誰か何か言ったか?」
「いや、何も」
「全然」
皆首を必死に横に振りつつ青い顔で言い合うのだった。
「そんなの言うわけないじゃないな」
「そうだよな、絶対にな」
「そうだよ」
言えばそれで大惨事が起こるのがわかっているからである。
「そんなの。何があってもよ」
「じゃあ何でだ?」
そこが大きな謎なのであった。
「何で組長知ってるんだ!?」
「この少年のこと」
「わからねえ。何でだ?」
「だよなあ」
誰もどうしてなのか全くわからないのだった。
「これってどういう現象なんだろうな」
「今日でもう知ってるなんて」
「俺の直感を舐めるな」
健一の言葉である。
「日和に言い寄る奴は何処に離れていようとも誰だかすぐにわかる!」
「ちょっと待ってよ!」
日和が今の健一の言葉を聞いて思わず言い返した。もう玄関で戦闘態勢である。健一はその彼女を前にして玄関の二段になっているその一番上で仁王立ちなのであった。顔は勿論憤怒のそれである。
「それって完全にニュータイプじゃない!」
「ニュータイプ!?甘い!」
だがこう言われても健一は平然としているのだった。
「俺はそんなものは超えている!!」
「じゃあ何なのよ」
「御前の兄貴だ!」
最早会話にすらなってはいなかった。
「だからわかるんだ!」
「それ説明になってないわよ!」
「説明する気はない!」
そもそもそんな気すらないのであった。
「いいか!死ね!」
「死ねって何なのよ!」
「日和に言い寄る奴
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