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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十五話 クロプシュトック侯事件(その3)
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のはブラウンシュバイク公の面子を潰したということですか、……その場合、その愚か者に対する処分は准将、卿がつけるのですね」
「……もちろんです」

「いいでしょう。公爵閣下、フレーゲル男爵はそちらにお預けします。但し、男爵が不敬罪を犯したのは事実です。必ず責めを負わせてください」
「判った。必ず卿の言うとおりにする」
「それとこれは貸しです。必ず返していただきます。お忘れなく」
「判った」

話が終わると、中将はメックリンガー准将にブラスターを返した。そして私たちの元に戻ってくる。私は中将が傍に来た時、思わず身を引いてしまった。驚いたように私を見る中将に、私は罪悪感に囚われ謝罪していた。
「すみません、中将、私は」
「気にしていませんよ」
中将は苦笑しながら、私の謝罪をさえぎる。私の罪悪感はますます強くなっていく……。

「ナイトハルト、フロイラインを安全な場所に連れていってくれないか」
「判った」
私をミュラー少将に預けた?
「いえ、私は養父を……」
「ミュッケンベルガー、エーレンベルク両元帥は私が探します。フロイラインは安全な場所へ行ってください」
預けたんじゃないの?

「私も元帥閣下を探そう」
「いえ、ミューゼル大将はおやめください」
「なぜだ」
傷ついたように言うミューゼル大将にヴァレンシュタイン中将は真剣な面持ちで答えた。

「閣下に万一の事が有っては困るんです。ケスラー少将、大将閣下を安全な場所へ」
ミューゼル大将はヴァレンシュタイン中将の言葉に驚いたようだ。中将をまじまじと見ている。
「了解した。中将も決して無茶をしてはいけません。必ずお戻りください」
「ええ」

中将は私たちから離れると養父を探すために歩き始めた。私は何か中将に話しかけたかったが、何を話してよいかわからず、結局黙って彼の華奢な後姿を見ているだけだった。ミュラー少将が私を促し、安全な場所へと移動する。あそこで彼を避けなければ、彼は私にも養父を探させてくれただろうか?


■ ラインハルト・フォン・ミューゼル

ヴァレンシュタイン中将がミュッケンベルガー、エーレンベルク両元帥と共に宮殿の外に出てきたのは爆発が起きる二分ほど前の事だった。彼らだけではなかった、どういうわけかリューネブルク中将がいる。彼もヴァレンシュタイン中将同様、先日のオッペンハイマー伯の陰謀を未然に防いだ功により、中将へ昇進している。ひとしきり無事を喜んだ後、宮殿の中で爆発が起った。爆発は意外に大きかった。あのまま中にいれば、ほとんどの人間が死んだだろう。大変な事件になったに違いない。

爆発が終わったあと、夜空に上がる黒煙を見ながら話が始まる。
「リューネブルク中将、一体何をしていたのです?」
「いや、ヴァレンシュタイン中将と共にお二
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