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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-3 自分の意味を知りたくて
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父様の教えが何度も蘇るんです。『さくらならきっとできる』…『さくらの思い次第で、その力は人を傷つけもすれば、人を守る力にもなる』…。
あたしはその言葉を、『諦めない思いさえあれば、どんなことも乗り越えられる』って考えてます。だから、帝都を守るためにもあたしは女優としてもがんばっていこうって思ってます」
ジンは自分を見るさくらの目をまっすぐ見ながら、彼女の話を聞き続けた。なぜだろうか、彼女の声を聞くと懐かしい気持ちが湧き上がる。
「自分が何をするべきか最後に決めるのは、やっぱり自分なんです。ジンさんも、自分の心に従って答えを見つけたら、どんな答えが出ても、きっと後悔はしないと思いますよ」
「…自分の心に、正直に……」
「…なんて、本当は結構くじけちゃいそうだったんです。でも、ジンさんに話してみたら、気持ちがちょっと楽になりました」
さくらも、帝劇に身をおいてから抱えてきた自分の気持ちをぶつけたことで、心が軽くなった。人は時に、例え無意味だとしても自分の事を話してみるだけで気持ちを楽にすることがあるものなのだ。
「さ、そろそろ中に入りましょう?」
「あ、うん…そうだね。」
考えて見れば、もう夜中だ。ここでそろそろお暇しないといけない。二人はベンチから立ち上がった。
「なんか、僕も楽になったよ。ありがとう、さくら」
「いえ、あたし…ちょっと偉そうじゃなかったですか?」
「そんなわけないよ。でも、不思議だったよ」
「不思議、ですか?」
意外な返答を聞いて、さくらは目を丸くする。
「さっきのさくらの言葉…不思議と懐かしさがこみ上げてきたんだ。親や兄弟から言われたような感覚だったよ」
なんとなく、さっきのさくらの言葉にあった「最期に決めるの自分」という言い回しを、昔にも言われたような気がしたのだ。それがジンの中に、奇妙な懐かしさを与えた。
「ジンさん、もしかして何か思い出せたんですか?」
自分の言葉をきっかけに、何か彼の記憶に関するヒントができただろうかと期待したさくらだが、ジンは首を横に振った。
「いや、全然思い出せないや」
なんだかちょっと情けない気もする。思い出せたのでは?と期待を寄せておきながら結局何も変わってないという感じが自分でも残念だ。
「そ、そうですか…早く、思い出せたらいいですね」
「うん、それに越したことはないんだろうけどね」
本当に、早く思い出したかった。そうじゃないと…ジンは『自分』を取り戻せない。自分の証をその手につかめない気がしてならなかった。

と、そのときだった。帝劇の館内に突然警報が鳴り響き始めた。

「警報!?こんな時間に…!」
この帝劇の正体は秘密部隊・帝国華撃団の本部ならば、この警報がなった意味は一つしかない。
「また、あの怪蒸気とか降魔が出たってことか…」
ジンの脳裏に
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