暁 〜小説投稿サイト〜
SAO‐戦士達の物語《番外編、コラボ集》
コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《一話─始める為の出会い》
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来は不足の事態で夜食が必要になった時の為にサチが何時もこしらえてくれる第二の弁当で、リョウも何度かこれに精神的に救われた事のある品だが……

「ッ〜〜〜!」
『うわ……』
その鼻腔をくすぐるスパイシーな香りと、いかにも美味そうな見た目に対する彼の反応は、想像以上に必死さの強い物だった。

「ッ!ッ!!」
「おいおい、んな急いで食ったら……」
「ングッ!?」
「言わんこっちゃねぇ……ほら、お茶」
「〜〜〜〜!」
まるで詰め込むように一気にサンドを食べ始めた彼に、リョウは呆れたような視線を向ける。一気食いで喉に詰まらせるまで完全にデフォ、此処まで分かりやすいと逆に笑えてきそうですらある。……と言うか……

『んなに腹減るまでこんなとこで何してたんだよ此奴……』
広場のど真ん中で一心不乱にサンドを食べるフードの人影と、それにつきあうプレイヤー、と言うのは周囲からますますもって奇異の視線を向けられたが、正直な所、目の前にいる彼の方がよっぽどおかしな物なので、周囲の目線は気にならなかった。
しかし、六切れのサンドがあるうちの四切れを食べた辺りで、不意に彼の手が止まった。

「?」
「……とう……ます……っ!」
「あ?」
どうやら、彼は食べるのをやめて何かを言っているらしかった。そんな様子に頭を掻いて、リョウは繰り返されるその言葉に、耳を澄まそうとする。と……

「……お前」
「あり、がっ……とう、ございまず……ありがどうございますっ……!」
ポタリ、ポタリと、雪の上に小さく透明な滴が何度も何度も落ちるのが見えて、頭を掻く手をリョウは止める。彼は……泣いていた。
泣きながら何度も何度も、まだ枯れたままの声で、感謝の言葉を重ねていたのだ。

「…………」
頭を掻いていた右手を、リョウは静かに降ろす。そのままその手を彼の頭に持って行くと、ぎこちなく、その頭を撫でるように、フードの上に積もった雪を掃った。

「良いから、今はそれを食っちまえ」
「…………」
再び押し黙って、彼は無言でサンドに喰らいつく。まるで今この瞬間を、絶対に忘れまいとするかのように。自らの記憶にその味を覚え込ませるかのように、ただただサンドをかみしめる子供の姿が、其処には有った。

────

2024年1月2日19:18

「っと……さて、と、先ず何から聞いたもんか……」
結局、近場の……けれど人目を避けるように、ある程度路地を行った先にある宿屋へと二人は入った。店内は薄暗く、かろうじて各テーブルの位置やカウンター、それに一台だけおかれたピアノの位置が照らされてはいるが、それ以外は足元を見るのもやや辛い光量だ。
彼等二人の他には客は無く、壁際のピアノはNPCによって何やら悲しげな音色を奏でている。
運ばれて来たココアを眺め
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