コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《一話─始める為の出会い》
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小さい。まるで……
『半死人の声だぞこれ……』
内心で苦虫をかみつぶしたような顔をしながら、リョウは少し唸った。
細く、弱弱しく、震えたその手は、振りほどこうと思えば簡単に振りほどける其れ。だが其処に、彼の精一杯であろう力が、強く強く込められているのだろう事は、その必死な、悲痛な気配から、いやと言うほどに伝わって来る。
「助けて……ボクを……ボク等を……助けて、下さい……お願いします……お願い……」
「……分からん」
「…………」
何度も何度も、同じ言葉を繰り返そうとするその言葉を更に遮って、リョウは言った。同時に右腕を握る彼の手に左手を掛ける。と同時に、彼の瞳がビクリと揺れる。きっともう何度も何度も、こうやって掴んだ手を振り払われて来たのだろう。その位の事は、彼の瞳が移した色濃い絶望と、悲嘆の光を見れば否が応でも分かった。だから、死人のように冷たくなったその手をリョウはしっかりと握りしめて……両手をつかって、ぎこちなく包んだ。
「お前が何を言いたいのかとか、なんでこんなとこにいんだとか、おれは何も知らんから、お前のその“助けて”って言葉の意味も重さもさっぱり分からん。……が、知りゃしないが事情があんだろ。話くらいは聞いてやる……だからせめて立て。こんな場所じゃ、話も出来ん」
「…………ッ!」
彼はその言葉に目を大きく見開くと、うるんだように震えるその瞳でリョウを見た。真っ直ぐにその瞳を見返す。
数秒の間見つめあっていると、やがて彼は何事かを決心したように目を閉じ、力を振り絞るように、か細い声を上げてリョウの手を支えにゆっくりと立ち上がろうとした。
が、どうやら悪ふざけで倒れていた訳ではないらしく、その脚はまるで生まれたばかりの鹿のように震えており、頼りない。
「ふらふらだなオイ……お前、まさか飯食ってねぇのか?」
「…………」
何も言わずに押し黙り、肯定も否定も彼に、リョウは再び額を押さえて溜息を突いた。其れは最早肯定してるのと同じだ。
「しょうがねぇな……」
言いながら、リョウはストレージを表示させると、自身のアイテムリストの中から一つの物を実体化させる。其れは、小さなランチバケットだった。
「……?」
「ほら、食え」
「えっ……」
其れを差し出すと、彼は戸惑ったような声を上げる。バスケットとリョウを交互に見るように、首を上下に振っているが、相変わらず顔は見えない。
「良いから食えっつーの。飯も食わずにいりゃそりゃ倒れるわ。つか、街中の、雪の中で腹へってぶっ倒れるとか、マッチ売りの少女かお前は」
「…………っ」
立て続けに言ったリョウの勢いに気押されたのか何なのか、彼はおずおずとバスケットを受け取ると、パカリと其れを開いた。中に入っているのは肉と野菜を挟んだサンドウィッチ。
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