暁 〜小説投稿サイト〜
SAO‐戦士達の物語《番外編、コラボ集》
コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《一話─始める為の出会い》
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時に、彼は近づくことに躊躇いつつもあった。
彼の信頼する自分自身の直感が、その場所から危険性とはまた違う……“厄介事の気配”とでもいうべき物を感じ取って居たからだ。
出来るなら、関わりたくは無い。そんな雰囲気。其れを無視してでも身体が動いて居たのはきっと、その厄介事の気配以上の、「放置すべきでない気配」を、彼の直感が感じ取っていたからだろう。
そして……

「……ッ」
その場所まで10mと言った所まで来た時、リョウはその場所を人々が避けて歩いている理由を理解した。其処に、人影が一つが倒れていたからだ。周囲の人間が近寄らないのも道理だろう、にぎわいを見せる華やかな最前線にあって、その人影はあまりにも異質だった。
その人物はボロボロで所々ほつれた上に、雪と土で出来た汚れだらけのマントとフードをかぶって居て容姿も何も分からず。装備も、そもそも戦闘を行う冒険者なのか生産職の人間なのかも、性別すら不明だ。唯一つ予想できるのは、体格からして、子供かもしれない言う事だけ。

「……あー……」
額に手を当てて、リョウは唸った。まったくもって此処まであからさまな厄介事の気配も珍しいくらいだ。と言うか珍しいからこそ皆避けている。あれに関わろうなどと言うモノ好きなどそれこそアインクラッド中探しても滅多にいないだろう。其れが分かっている故の唸り。
そしてその物好きの一人になろうとしている馬鹿なプレイヤーが、自分であったりすることも分かっている故の、心底自分に呆れたような唸り声だった。
何故其処まで言っているくせして関わろうとするのかと言えば、簡単だ。
こんな場所に人が、其れも子供かもしれない人間が倒れているから。そんなどうでも良い、それこそ安っぽくて薄っぺらい、ごく一般的な偽善である。

「……〜〜チッ!おい!おいコラ!」
とにかく倒れた人物のすぐ真横まで駆け寄ると、肩をゆすって意識が有るのかを確かめるために呼びかける。近寄った拍子に、煤けたマントのカビのような、泥のような匂いに混じって、微かに柑橘系の爽やかな香りがした気がしたが、そんな事は今はどうでも良い。

「……ぅ……」
微かに顔を上げたその瞳は、やはり年若い物だった。フードに隠れて半分の目しか見えないが、翡翠色の瞳が確かに自分の表情を映しているのをみて、リョウは問いかけを続ける。

「おいお前、立てるか?こんなとこで倒れてんじゃねェよ、ったく……立てるなら早く立て、っ……?」
「……けて、ください……」
リョウの問いを遮って、フードをかぶったその人物はしゃがみこんだリョウの腕を握った。
声はやはりと言うべきか、大人の声にしては高い声だ。ただその口から紡ぎだされる音はそのどれもがか細く、その上枯れ果て掠れていて、よく聞いて居なければ何を言っているのか聞き逃してしまいそうなほどに
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