暁 〜小説投稿サイト〜
SAO‐戦士達の物語《番外編、コラボ集》
コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《一話─始める為の出会い》
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ている理由は何だ?

「……あー」
なんだ、とリョウは唐突に気付く。その答えが、とても簡単な事だったからだ。

「あー、あーあー、ったく、馬鹿だな俺……」
「え……?」
言いながら、リョウは呆れたように唸り、小さく笑った。その様子に戸惑ったようにユミルがリョウを見る。
そう、とても簡単なことだ。詰まる所、自分はどうにかしたいと思っているのだ。この子供に叩きつけられた現実と状況を。

自分はまだ二十歳にもならないガキだ。ガキらしく人並みにどうにもならない現実を受け入れていて、同時にやっぱりガキらしく人並みにどうにもならない現実が嫌いだ。その現実の嫌いな部分から逃げだしたくて、ゲームに走ったのが自分の原点だ。
親が離婚し、母は家をあけがちになり、姉と二人だけで家に居たあの頃、父が唯一残して行ったゲームの世界でなら、何も知らず、何も持たない自分は、英雄にも勇者にも悪人にも兵士にも魔法使いにも戦士にもなれた。だからゲームが好きだった。ゲームの中には現実の寂しさや、訳の分からない悲しさを持ちこまなくて済んだから。
そして今だってその延長線上で、自分は此処にいる。状況は変わってしまったけれど、現実と言う嫌なことだらけの世界から離れて生き、まだ見ぬ敵に、冒険に、人々に、景色に、世界に、ワクワクとした期待感が止まらなかったからこそ、自分は最前線で戦い続けているのだ。そうでなければ、きっと自分は今頃、森の家でサチと二人でつつましく暮らしていたのだろう。

そんな自分が、此処で逃げる?
現実の嫌な部分から逃げてたどり着いた此処で、また現実から逃げる?

『“らしくねぇ”な……』
“ニヤリ”と、青年は笑った。

『ぜんっぜん“らしくねぇ”だろ……!』
冒険者なら、したい事を、したいようにするべきだ。
戦士なら、立ちふさがる壁など力づくで切り裂くべきだ……
そうでなければ、“現実をねじ伏せる自分”でなければ……

『じゃなきゃ“ゲームやってる意味”がねぇんだよ……!』
其れまでのつまらなそうな顔が嘘のように、リョウは獰猛に笑う。まるで雰囲気の違う彼の笑顔で、ユミルがおどおどとした様子で聞いた。

「あ、あの」
「おっし、おいユミル」
「は、はいっ!?」
しかし其れを遮って、リョウが突然彼の顔を覗き込む。びくっ!?と反応して、ユミルが軽く顔を引いた。

「さっきも言ったが、俺達はお互いを何も知らん。お前は俺の実力も、人と成りも、その他何も知らん。其れは俺も同じ。精々お前が本気でその使い魔を助けたがってる事しか分からん。だから、俺は其処に肩入れする事にした」
「へ、へっ?」
何を言われているのかよく分からないと言う風に、ユミルが首を傾げる。驚きで涙も吹き飛んでいるが、まだちょっと涙声の可愛らしい声だ。

「お前が
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