コラボ・クロス作品
戦士達×ツインズ
おまけ!その二
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と彼女は、物憂げに何かを考えているようだった。一瞬もう一度声を掛けるか迷ったが、その前にマーブルが此方に気付く。
「え?あ、はい、おかわりね?ごめんなさい、私ったらぼーっとしてて……少し待ってね?」
そう言うと彼女はカップを受け取り、硝子らしき透明なポットから茶を注ぎ出す。
少し気になったが……聞くべきでは無いような気がしてそのまま何も言わない。それにしても……
『やっけに様になってるよなぁ……』
VR慣れしているのは勿論だが、それ以上に彼女が茶を淹れる動きには、不思議と手慣れた物を感じる。それに、年齢の割にやけに雰囲気が大人っぽい。老けている、と言うことではない、非常に物腰落ち着きがあるのだ。
……リアルで結婚でもしているのだろうか?
『ま、最近は結婚してもガキっぽい嫁さんとか多いらしいけどな』
その辺り、“あいつ”はどうなのだろうと、リョウが取り留めもなく考えていると、ティーカップが差し出される。
「はい、おまたせしました」
「ども」
受け取ると、一口飲む。美味い。と……
「ごめんなさいね。本当はケーキか何かあれば良いんだけど……」
マーブルが困ったように眉を八の字に落とし、左手の人差し指を頬に当てた。
この動きが此処まで様になる人始めて見た。
「ありゃ、材料切れっすか?」
「えぇ。タルトが作れそうなんだけど、今朝果物買い忘れちゃって……」
果物等の果実系アイテムは、耐久力が減りやすい為飲食店等は大体三日四日置きに買いに行くと聞いた事がある。と、其処まで考えて……
「……そういやあ……」
「……?」
リョウはふと思い当たり自分のウィンドウを呼び出す。
「昨日知り合いの“実力派食材屋”から買ったんっすけど……」
「実力派……?」
リョウの言葉に、マーブルは聞き慣れないのだろう。首を傾げる。
「上の方で、行商やってる食材屋なんッスけど、新しい食材とか珍しい食材、後、何より美味い食材の話があると、実力で取りに行くっつー根性野郎……いや女か……。そいつがやけに進めるんで買ったんですけど……これ、ミオレの実っつーんですけど」
リョウが取り出したのは、オレンジ色の木の実……と言うよりも果実だった。
外皮が極端に薄く、中の果肉のオレンジ色が見えている。表面を触ると弾力が返ってくる物の、その気になれば(一般的な筋力値で)易々と指を突き入れられそうだった。それはまるで……
「なんだか、皮を剥いたみかんみたいねぇ……」
「つか、そいつ曰わくみかんらしいです」
言いながら、リョウはそれを半分に割る。中には果汁が詰まって居るのだろう小さな袋状の果肉が密集していた。ますますみかんだ。何しろ香りまでみかんその物なのだから。
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