コラボ・クロス作品
戦士達×ツインズ
おまけ!その二
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矢張り彼は既に夕飯を食べ終えていたのだろうか?
と、そんなことを考えている内に、店主さんが奥から戻ってきた。
「はい、おまたせしました」
両手で盆を持った彼女の手には……
「おぉっ、オムハヤシっすか!」
黄色いオムライスを中央に、赤茶色のソース、と言うよりも具沢山のルーがかかったそれは、恐らくはこの店の通常サイズよりも大きく、何と言うか……量的には学生の為の大衆食堂のメニューと言ったところか。
「正解。これなら、お腹にも溜まるでしょう?おかわりも作ったから、沢山食べてね?あ、お代は勿論頂きますけど」
「もちろんっすよ!いただきまっす!」
「はい。めしあがれ」
とんっと音を立てておかれたそれに、リョウは即座に横に置かれたスプーンをひっつかんで挑みかかる。
と、オムハヤシで一杯になっている視界の外で、こんな会話が聞こえた。
「あら、もう寝るの?」
「ん……それじゃ、“店主さん”」
「えぇ。お休み……ユミル」
「…………」
がつがつと、それを食い続けるリョウは敢えて気付かないふりをしたが、女店主が溜息をついた所まで、彼の耳はしっかりと捕えていた。
────
食後にハーブティーを飲みつつリョウはふと思いついたように切り出した。
「常連さん、なんすか?」
「え?」
「いや、さっきの……ユミルでしたっけ」
「あら……」
リョウが言うと、彼女は意外そうな顔をして頬杖を突く。
「それは、あの子が自分から?」
「はい?」
「名前」
「あぁ。まぁ。なんかキレてましたけど」
「怒って……」
言うと、彼女は困ったように、けれどどこか楽しそうに笑う。
「何か怒らせるような事したんじゃないかしら?心当たりは無い?」
「怒らせる……」
リョウは少し考えた後、ふと言った。
「チビ……?」
その瞬間、彼女は吹き出した。
「あー。当たりっすか」
「そうね。多分それ。あの子その事気にしてたから」
くすくす笑いながら彼女は言った。
しかし少しその顔を真剣なものにして、その後を続ける。
「それにだめよ?人の身体の事を色々言ったら。貴方だって……あ、そう言えば、まだお互い名前も知らないのよね……マーブルよ、宜しく。えっと……」
「あぁ、リョウコウっす。リョウとでも呼んで下さい」
慌てたようにリョウが名乗ると、彼女……マーブルは再びほんわかと笑う。
「リョウ君ね。一晩だけど、ゆっくりしていってくれると嬉しいわ」
「っはは。既に結構くつろいでますけど」
君付けで呼ばれたのは、随分と久しぶりだった。以前まで自分の事を君をつけて呼んでいたのは、偶にふざけて呼んできていた姉の玲奈と、和人達の母である桐ヶ谷翠。それに、眼鏡の幼なじみの母親である、浅田紀乃だけだ。
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