暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十二話 信頼の昼
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
できる。

 まだ、納得のいかない私に彼……アマネは、淡々と語ってくれた。

《それにマスターは、少し分かりづらいかもしれませんが、あなた様のことを信頼しています》

「信頼?」

 私の問いにアマネはええ、と答えてから続ける。
 
《昨晩の一件で、マスターはあなた様がどういう人かを知りました。 あなた様は大変責任感が強く、そして優しい。 それこそ、自分自身の心を押し殺してまで母親に従い、悪事に手を染めるほどに》

「……」

 昨晩の一件とは、私が黒鐘の抱えているものを暴かれたあの尋問のこと。

 今でもあのことを思い出すと、少しだけ彼のことが怖く思えてしまう。

 だけど、あのあとの彼を見て、彼の言葉を聞いて、彼は決して悪い人じゃないんだって知った。

 そんな彼は逆に、私がどういう人間なのかを私を見て、私の言葉を聞いて理解したんだ。

 敵とか味方とか関係なくて、一人の人間として見てくれたんだと思う。

 それは嬉しいような、恥ずかしいような……。

《それに、マスターは嬉しいのかもしれません》

「嬉しい……何が?」

《事情があるとは言え、誰かと一緒に暮らしていると言うこの状況が、嬉しいのかもと思いまして》

 アマネは嬉しそうに弾んだ声で語る。

 彼が喜んでいるのだと。

 私なんかと一緒にいるのが、嬉しいことだって。

「でも、私は敵なんだよ? 裏切るかもしれない、逃げるかも知れないのに……嬉しいなんて」

《だとしても、です。 昨晩お話ししましたが、マスターは現在、家族と共に過ごせる状況ではありません。 ましてや両親はお亡くなりになってる。 この一人暮らしだって彼自身、自覚はしていないでしょうが、心のどこかでは家族のように誰かと過ごしたい感情が……寂しさがあったと思います》

 それは昨日教えてもらった、彼の抱える孤独。

 五年前に起こった悲劇が生んだ、彼の今。

 一人でなんでもしないといけなかった。

 だから一人で努力したんだと思う。

 アマネと言うデバイスがいても、人の支えがないのなら変わらない。

 彼は一人、ずっとずっと孤独に耐えてきたんだ。

 私と言う存在は、そんな彼の孤独を埋めている……のかな。

 それはそのまま、彼が私のことを必要としていることに繋がるわけで、

《フェイト様も、嬉しいのではないですか?》

「え……」

 私が思っていたことを突かれて驚いたけど、素直に頷いた。

 そうだ、私は嬉しいんだ。

 彼と過ごしている、この時間が。

「私も、家族に甘えたいから、黒鐘といるの……嬉しい、かも」

《左様ですか》

「で、でも、黒鐘には内緒だよ!? 絶対、絶対言わな
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ