暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第15話?鏡血花
[10/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
しかも、まだ当時武器職人初心者だったあたしからも業物だと判るほどの一振り。鞘に入って刀身は少しも見えなかったのに、これはすごい武器だと感じた。
?ぼんやりとその柄を眺めていると、
「あの、すいません」
「あ、は、はい!?何でしょうか!」
「ちょっと振ってみてもいいですか?」
「もちろん、どうぞ!」
「ありがとうございます」
?そう言って、彼は武器の柄を握りしめてから――あたしの方をちらり、と見た。そして、何故か持っていたあたしの武器を下ろす。
「えっと……これ気になります?」
「えっ!?」
?少年が親指で背中に提げている曲刀を指す。あたしは思わぬ指摘に声が出ていた。どうやら、無意識のうちにずっと見ていたらしい。
「え、え〜と〜……そのぉ〜……っ!?」
?これといって言い訳が思い付かなかったあたしは、両手を勢いよく振りながらしどろもどろになる。
?そんなあたしを見てから、少年は小さく笑ったあと、背中の鞘から抜いて、あたしの方に差し出した。ご丁寧にあたしの方に柄を向けて、だ。
「気になるなら、どうぞ。存分に見てやってください」
「でも、そんな……」
「気にしないでいいですよ。僕も自分の使ってる武器に興味を持ってもらうのは、嬉しいですし。相手が武器職人さんなら、なおさらです」
「じゃ、じゃあ、遠慮なく……」
?両手でそれを受け取り、彼が手を離した瞬間、思いもしなかった重みが左右の腕にかかった。思わず目を開きながら、両腕に入れる力をさらに加える。何とか前につんのめるのを防ぎ、バランスを整えたところで指先でタップする。
「んなっ……!?」
?あまりの驚愕に思わず声が漏れる。あたしが見てきた武器のなかで一番の性能を持つ武器だった。名前も聞いたことがない。
?要求されている筋力値も相当高く、付与されている効果は現段階での確認されている武器のなかではピカイチだ。鞘に入っていたときには見れなかった何が素材か判断できない黒い刀身が、光を受けて刺すように鋭く輝く。
?あたしは視線を持ち上げて、通る人の邪魔にならないように配慮しながら、あたしの作った武器を軽く振っている目の前の少年を再び見る。
?――いったい何者なのだろうか。こんな武器を持って、しかもそれを扱うだなんて。
?そんなあたしの向ける目線に気づかずに、少年は小さく息を吐いたあと、刀身の方を持ってあたしに返してくる。
「ありがとうございました」
「どうも、あたしの方もお返しします。ありがとうございました」
「いえいえ。……それで、あの、言いにくいんですけど、お願いがあるんですが……」
「な、何ですか……?」
?所在なさげに右手を後頭部にやりながら、目線を逸らしている向こうの反応を見て、あたしは小さく首をかしげる。
?数秒後、少年は意を決したように息をついてから、今
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ