暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第15話?鏡血花
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が地面から離れ、台風のような風圧に叩きつけられる。ドラゴンが僕に噛みついたまま振り回し始めたからだ。
「こ……のぉ……!」
?左右に激しく揺らされながら、頑張って足を地面に着け、振られている方向とは逆の方に力を入れる。しかし、それだけでは状況は何一つ変わらなかった。
?今度は左手にある曲刀を渾身の力で地面に強く突き刺し、ブレーキを掛ける。直後、左肩が脱臼し、体が二つに千切れるかと思うほどの力が左右別々に加わり、ドラゴンの振る勢いが少しだけ弱まる。だが、完全に止まるまではいかず、ギャリリリリリィ!?と悲鳴に似た音をあげる曲刀ごと振られる。
?激しく揺さぶられる視界の端で、さらにHPゲージが削られていくのを見ながら、曲刀に入れる力を強めた。すると、ピキ、という音が左手のなかからするとともに、ドラゴンの振り動かす勢いがまた幾分か減少する。
「おおおおぉぉぉぉぉ?」
?肺の空気を出し尽くさんとばかりに咆哮しながら、さらに左腕と両の足腰に力を加える。パキ、ピキ、という不穏な音が左手のなかで発生するのを痛いほど感じながら、力を入れ続ける。足の裏は靴底がすり減ってるんじゃないかというぐらい――そして、燃えてるんじゃないかと思うほど熱い。
?HPゲージが五割を下回ったところで、ようやく停止した。足元からは煙が燻り、地面に突き刺さったまま動かされていた曲刀の刀身にはいくつものヒビが走っていた。
?僕はすぐに曲刀を地面から抜き、左腕を全力で引き絞る。破片が零れる刀身に黄色の輝きが宿った。
「これで……終わりだぁぁあああああ?」
?叫びながら、限界までソードスキルの軌道に力を乗せる。
?光線のように鋭く煌めく切っ先が、ドラゴンの交差した牙にぶつかり、砕き尽くす。
?そして、今までで一際大きく高い咆哮を、天井に向かって放ったあと――
?ガーディアンドラゴン・オブ・ヘマタイトは、体に無数の亀裂を走らせて、盛大に四散した。
?黒い守護龍の体の一部だったガラスのような破片を全身に浴びながら、僕は静かに振り上げたままだった曲刀を下ろした。次いで僕から数メートル先で、鋭利な金属が空中で回転しながら落下して地面に突き刺さる――左手にある武器の刀身は、半分以上へし折れていた。
「…………ありがとう……お疲れ様……」
?天井に向かってかざした相棒に、感謝と労いの言葉をかける。次の瞬間、僕の言葉に応えるかのように爽やかな破裂音を鳴らして、僕の手元から離れていった。
?無言で左手を数回閉じたり、開いたりしたあと、表示されていたリザルトウインドウを消してから、右手を上着のポケットに突っ込んで転移結晶を取り出そうとする――が、僕の右腕も二の腕の半ばから先がなかった。ドラゴンに噛みつかれたときに完全に食われていたらしい。HPゲージの下に部位欠損アイコンが点滅していたことに今
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