暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第15話?鏡血花
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、今は僕ひとりしかいないから、そうむやみに使えない。ソードスキルを使うと、例外なく技後硬直が起こるからだ。
?だから、これからの戦法としては、ソードスキルを使うのはなるべく控える。ここぞ、というときに使う。
?ドラゴンの周りを動き回り、鎧の砕けている部分を――主に足を少しずつ、少しずつ斬りつけていく。
?しかし、向こうもただ黙って攻撃を受け続けてくれるわけじゃない。頭突きをしてきたり、尻尾を薙いできたり、炎を放射したりしてくる。それを避けたり、ソードスキルを使って何とか相殺する。とはいっても、すべての攻撃を無効化することはできない、できていない。どうしたって防御が間に合わない攻撃はあって、足元や肩に掠ったりして僕のHPゲージがじわじわ減っていく。時間が経過するほど、その頻度は少しずつ増えていった。
?いずれ、直撃を喰らうんじゃないか――という不安に近い嫌な予感が脳裏を掠める。
?そして実際、それはすぐに現実になった。
?HPゲージが残り一割を切ったドラゴンが全身をフル回転させて尻尾を地面すれすれに薙いできた。尻尾の先端が剣のように鋭く尖っていて――まるで、剣士による回転斬りのような攻撃だ。
?ここまで低い位置だと、上体を反らして避けるということは、まず不可能だ。尻尾の速度的にもソードスキルで軌道をずらすことも、叩き落とすことも厳しい。ましてや普通に武器を振ったり、受け止めたりするなんてもってのほかだ――そうなると、上に跳んで避けるしかない。
?膝をいつもより力を入れて曲げてから、上に向かって一気に解放する。現実世界だったら、一般の男子中学生ではまずあり得ない高さまでジャンプする。三メートルは跳んだんじゃないだろうか。
?このまま攻撃に転じようと、空中にいるまま右手で照準を定め、左腕を振り上げる。このまま重力も上乗せして上段斬りを叩き落とすつもりだった――しかし、現実は違った。
?尻尾を僕に向かって振ったことで終わったと思っていた回転がまだ続いていたのである。僕から見て後ろ向きになると思っていた巨体の頭部は、しっかりと僕の前に戻ってきていた。
?驚きから覚め切れなかった僕は、右腕を突き出したまま固まる。
?その隙を逃してくれるはずがなく、ドラゴンはばっくりとアギトを開き――ひとつひとつが血のような赤で薄く光るその牙で、僕の右腕を二の腕の半ばから齧りついた。
「ッつ〜……っ!?」
?痛みはない。だが、不快な感覚が右肩から登ってくる。何より、自分の腕に自分とは異質のものが食い込んでいることが気持ち悪く、反射的に顔をしかめてしまう。僕のHPゲージが二割近く減少した。
?バランスを崩しながらも何とか足で着地し、右腕を取り出そうと引っ張っても微塵も動きはしない。どうにか外そうと躍起になるが、結果は一緒だった。次の行動に移ろうとした瞬間、両足
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