暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第15話?鏡血花
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?目を見開いて、その方向を見る。そこには、短剣を脇腹に突き刺している小さな少年の姿があった。
?一番気になったのは、何故ドラゴンが怯んだのか。短剣には、硬い鎧を無効化にでもするソードスキルがあるのだろうか。
「ユウ兄ちゃん!?今のうちに!」
?疑問が埋め尽くされる頭に、ソラの声が入ってきて、僕はハッと我に返る。
「わ、わかった!?ありがとう!」
?手短に伝えたいことを叫び、まだ熱のこもった体を無理矢理動かし、床に落ちている曲刀を拾ってドラゴンのアギトから距離を置く。そして、用意していたポーションを取り出して一気に口内に入れる。
?曲刀も僕の体と同じように相当熱があったのだろうが、冷たい地面に少しの間放置していたおかげか、何とか、本当に何とか頑張って握れるぐらいには冷えていた。
?少しずつ増えていくHPゲージと熱い武器の迅速に確認してから守護龍を見ると、すでに僕ではなくソラの方を睨んでいた。
?これ以上ソラに負担をかけてたまるか――!
?そして、僕の方を見ていない今がチャンスだ。後ろ足まで全力で駆ける。曲刀の刀身が赤い光を放った。
?曲刀ソードスキル《ベア・ノック》。三回斬りつけたあと、柄頭でノックバックさせる曲刀ソードスキルで唯一打撃を含んだ剣技。さすがにこの巨体をノックバックさせることは叶わないが、強烈な攻撃であることに変わりはない。
?今度こそドラゴンが悲鳴をあげた。ピシッと音をたて、足を覆っていた黒い鎧にヒビが微かに入る。ここを中心に攻撃していけば、いずれ砕けて部位破壊ができるはずだ。
?そう思った次の瞬間、今まで地面に引きずられていた大木のような太さで、上部に黒い鉱山が生えている尻尾が鞭のようにしなり、僕の頭に向かって飛んでくる。上体を大きく後ろにそらし、膝を曲げて回避する。髪が風圧でなびいたのを感じてから、体を持ち上げて再度ソードスキルを同じ箇所にぶつける。さらにヒビが大きくなった。このことをソラに伝えなければ……。
「ソラー!?聞こえるー!?」
「なに?」
「うわぉう!?」
?ドラゴンの下からヘッドスライディングでひょっこり顔を出したソラに、思わずアメリカンな驚きの声が出る。何で忍者みたいに出てくるのさ!
「ユウ兄ちゃんがよんだから来たんだよ」
「いや、呼んだけどさ……」
?普通に返事してくれるだけでよかったんだけど……。
?こんな拍子抜けなやり取りをしている間に、ドラゴンは僕たちの方を向いて、また大きく口を開けて炎を吐き出した。
?――同じ手を喰らうか!
?という気持ちと、
?――もう熱いのは、こりごりだ!
?という悲鳴にも似た思いを胸に、ソラと同じ方向に走って避ける。しかし、炎はそこで終わらず、僕たちの方に動いてきた。走りながら、会話を続行する。
「ソラ!?前足と後ろ足のどれか一つに絞っ
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