暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第15話?鏡血花
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メートル満たない目の前では、炎が僕を燃やさんと迫っている。剣の盾で打ち消してはいるが、炎の勢いまでは消えず、ジリジリと僕は後ずさる。高速で回転する剣を支える左腕に右手を添え、踏ん張るために両の足に力を入れる。しかし、それでも拮抗するとまではいかなかった。それでもさっきよりゆっくりと、そして着実に後退していく。
?あと、十秒もたたないうちに、ソードスキルのモーションから外れてしまい、僕は炎に飲み込まれるだろう。その前にこの火炎放射が終わればいいが、そんな保証はこれっぽっちもない。
?なら――
「ソラ!?今のうちに一番強いソードスキルを……!」
「わ、わかったっ!」
?怒鳴り声にも似た僕の叫び声にソラは応え、短剣に紅の光を灯す。次の瞬間、ドラゴンの脇腹に前よりもすさまじい斬撃音とライトエフェクトが発生した。――これで怯んでくれれば……!
?しかし、そんな僕の淡い期待は虚しく叶わなかった。炎の勢いは止むことはなかった。そして、ついに完全にソードスキルが破られる。
?――――南無三……!
?豪炎が全身を包む。あまりの熱量のせいか、不思議と熱さは感じなかった。その場に留まることができず、壁に打ち付けられるまで吹っ飛ぶ。
「が……は……っ!」
?そのまま地面に崩れ落ちる。カラン、と音を立てて左手から曲刀が落ちた。
?強制的に肺から吐き出した空気は炎になったんじゃないか、と思うほど熱い。それを感知した瞬間に、身体中が燃え上がるように――実際に燃えているのだが――熱を感じた。フードのついた上着を始め、装備している防具が所々燃えている。耐熱性が高いから、耐久値はそんなに心配してないが、急いで無理矢理膝をつき、両手で叩いて火を払う。
?チカチカと点滅する視界の左上に表示されているHPゲージは、三割も削れていた。これでもレベルはかなり上げている方だと思っていたが、それでもこれだけ減るということは、やはりこのドラゴン、攻撃力も高い。
?いまだに発生している火傷にも似た現象を耐えながら、少しずつ起き上がる。早く動きたいのは山々なのに、僕の意思など知ったことかという風に鈍くさい。
?視線を動かしてドラゴンを見る――いや、見なくてもわかった。地響きが大きくなってきている。近づいてきているのだ、僕に止めを刺すために。
?僕の目と鼻の先まで来たときに、ようやく僕は完全に立ち上がる――といっても、両腕をだらんと力なくぶら下げている状態だが。気のせいだと思う。霞む目の前にある大きな口が、嘲笑っているように見えるのは。
?そして、その口が大きく開き。
?僕を咬み切ろうと――
「やぁああめぇえろぉおおおお――!」
?ドラゴンの咆哮に匹敵するほどの絶叫が部屋中に響いた。次いで黄緑色のライトエフェクトが激しく煌めき、今までまったく動じなかった巨体がわずかにだが揺らぐ
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