暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第15話?鏡血花
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わず目を細め、その光景を固唾を飲んで見守る。
?細長いダイヤのような形をしていた鉱石は、徐々にその形を変形させ、細く延びていく。不思議な光景だった。やがて、刀身と思われる部分、鍔と思われる部分、柄と思われる部分がそれぞれ形を成していく。
?数秒後、その光景に終わりが訪れ、鉱石があった場所に一本のカタナが顕現した。
?僕は立ち上がることすら忘れて、そのカタナから目が離せなくなる。
?刀身の峰の部分は鉱石のとき同様に黒く、刃の部分は鏡のように見事な銀色で輝いている。そして見る角度を変えると、わずかに刃は光を反射して、赤く見える。鉱石の性質を完璧に受け継いでいた。その下に伸びる鍔も鈍い金色に輝いている。こんなにきれいで美しいカタナは、はじめて見た。
「さ、完成よ。名前は《鏡血花(きょうけっか)》だって。はじめて見るカタナね。……手で持ってみて」
?ハンマーを置いて汗を拭うリズの言葉を聞いて、僕はゆっくりと立ち上がり、カタナの柄を両手で掴む。
?片手武器の曲刀に慣れていたからだろう、思っていたよりも重かった。しかし、決して嫌な重さではない。むしろ頼もしい重量で、好ましい重さだった。
?リズから少し離れて数回振る。重いはずなのに、振るときは自然と軽かった。これならすぐに手に馴染むだろう。
?僕はついに我慢できなくなり、口許がひどくにやける。想像していた以上の出来だった。満足しかない。不満なんてあるはずがなかった。
「ありがとう、リズ。僕、リズに頼んでよかったよ」
?僕の言葉に、リズは嬉しそうに笑う。つられて僕も笑う。
「そう、ならよかったわ。大事にしなさいよね。あと、欠かさずに研ぐこと。わかった?」
「うん!」
「よろしい。はい鞘」
?放ってくる鞘を受け取り、カタナをなかにしまい、腰に差す。
「じゃあ、お金を払わないとね。いくら?」
「お金はいらないわ。これは、あたしからのプレゼントってことにしといて。カタナスキル、おめでとうユウ」
「でも、やっぱり悪いよ。こんなに良いのをタダでもらうなんて……」
「いいのよ。でも、次からはちゃんと払ってもらうからね」
「そ、それは当然だよ!?やっぱり何か……あ、そうだ!」
?僕はストレージのなかに入っていたそれをほとんど実体化させた。すると、両手で何とか抱えられるぐらいの量が出てくる。今腰にあるカタナの元となった鉱石――ヘマタイト・インゴットだ。
?リズはそれを見て、驚きの声をあげる。
?僕は何とかこぼさないように持ちながら、
「これ全部あげる」
「あんた、そんなに持って帰ってきたの!?」
「うん。僕もこんなに採ってくる予定じゃなかったんだけど、採れちゃった……」
?震える左手でウインドウを操作し、リズにトレードを申し込む。
「これだけあったら、強い武器たくさん作れるんじゃな
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