3部分:第三章
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第三章
「そのわしにとっては二日なぞ些細な日数じゃ」
「そうなんですか」
「左様。だから安心して電話番をしておいてくれ」
本当にそれだけでいいというのである。
「食事はこちらで適当にやっておくからのう」
「インスタントラーメンとか冷凍食品とかファーストフードとかお握りとか用意しますけれど」
「ああ、それはいい」
小田切君のこの申し出もいいというのである。
「わしはいざとなれば半年飲まず食わずでも平気じゃ」
「そうだったんですか」
「殆ど毒トカゲだよな」
「その域を超えてるね」
またライゾウとタロが博士の話を聞いてひそひそと話をする。毒トカゲは何ヶ月も飲まず食わずでも生きていられるのだ。かなりの生命力である。
しかし博士は。その毒トカゲ以上なのであった。
「だから安心していいぞ。二日程度ならのう」
「全然平気なんですね」
「食べるのを忘れておっても平気じゃ」
こうも答えるのだった。
「ついでに言えば二日程度の徹夜ものう」
「平気ですか」
「一月寝ないでも平気じゃ」
やはり人間の能力ではない。
「わしは死ぬことがないからのう」
「そういえば二百億歳でしたっけ」
小田切君は博士にその年齢のことを尋ねた。
「博士は。そうですよね」
「宇宙が出来た頃からおる」
堂々と言ってみせる博士だった。
「そのわしにとって半年飲まず食わずも一月寝ないでものう」
「何てことはないんですね」
「ましてや二日寝ずとも食わずとも飲まずとも」
二日程度、といった口調だった。
「何ということはないわ」
「それで二日で全て終わられるんですね」
「左様。その間だけでよい」
その二日だけだというのをあくまで強調する博士だった。
「それではのう。今から全てに取り掛かる」
「ええ、それじゃあ」
これで博士はその設計から開発、そして製造に取り掛かることになった。残った小田切君達はとりあえずそのマスコットを見る。そのマスコットの姿とは。
「不気味な黒がかった黄色い肌にインド風の仏教の子供のお坊さんが鹿の角を生やしてにこりと笑ってるけれど」
「もうこれがな。最悪っていうかな」
「気持ち悪いよね」
小田切君はライゾウ、タロとこのマスコットを見て話すのだった。そのうえでこの不気味なマスコットが破壊兵器となることについて心の何処かで納得してもいた。
その二日後、運命の日。研究所のパソコンの部屋に出て来た博士はいきなり叫ぶのだった。
「全ては終わった!」
「終わったんですか?」
「そうじゃ、終わった」
いきなりこんなことを小田切君に言うのだった。
「この世がのう」
「何で終わるんですか?」
「見るのじゃ」
何の説明もしないでの今の博士の言葉だった。
「外をな」
「外ですか?
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