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八神家の養父切嗣
三十七話:襲撃開始
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ような甘いことはさせない。

「伏せろ、お前ら! 狙撃が来るぞ!」

 四人の耳にヴィータの叫び声が届き反射的に地面に伏せる。次の瞬間には高密度のエネルギー砲、端的に言えば極太のレーザーが自分達のすぐ近く、地上本部上部に撃ち込まれた。その一撃の威力を見た者達は皆一様に動きを止めてしまう。

 何も攻撃に恐れたからではない。単純に簡単に動くことが出来ないのだ。相手はいつでもこちらを狙える位置に居るというメッセージ。それはこの上なく効果的な牽制だ。下手な動きを見せればお前たちの命は一撃の下に消え去ると無言で語りかけているのだ。

 そして誰もが動けなくなったことを見計らい、ガジェットは一斉に本部全体を取り囲みAMFの展開を始める。その行動の真意に気づきヴィータは大きく舌打ちをする。敵はこちらの主戦力を封じ込めに来たのだ。

 魔法を使える人間でストライカー級の者達は一様に階級が高い傾向がある。これは強い人間ほど手柄を立てやすいからである。階級が高いということは面倒な会議などに出なければならなくなる。つまり、中に居る人間の方が強いのだ。それらが一手に固まったところを封じ込めればこちらの戦力を一気に削ることができる。

「ちくしょう、はやてもシグナムもなのはもフェイトも出れねえんじゃキツイな」
「ヴィータ副隊長、すぐになのはさん達を助けに行きましょう!」
「そういや、もしもの時は地下で落ち合うように言ってたな。デバイスも持ってってやらねーとな」

 そうと決まれば一刻も早く向かわねばならないところなのだが戦場とは不測の事態ばかりが起きるものだ。

「ヴィータちゃん、十二時の方向から推定オーバーSの未確認が近づいて来てますです!」
「空戦か? 今ここに居んので戦えんのはあたしだけか……フォワード陣、よく聞け!」
『はい!』

 ツヴァイから与えられた情報をもとに素早く作戦を組み立てるヴィータ。一体相手が何の目的をもってここに向かってきているかは分からない。だが、黙って素通りさせるわけにいかない。その為には止めることができる者が止めに行かなくてはならない。

「今からお前らは隊長達のデバイスを届けに行け。あたしは未確認を叩き行く、分かったな」
『了解です』
「よし、じゃあ急げよ」

 お互いに振り返ることもなく駆け出す。それは信頼の証である。フォワード陣は自らの副隊長の強さへの絶対的な信頼。ヴィータは今までの訓練を耐え抜いてきた新人達の成長への信頼。

 それぞれが大丈夫だと信じていた。だが、どれだけ強くとも必ず生きて帰れるとは限らないのが戦場だ。ましてや全員が無傷で帰ってこられるなど―――どれだけの確率であろうか。





 地下通路のロータリングホールにてなのは達隊長陣と落ち合うために地下通路
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