暁 〜小説投稿サイト〜
異世界系暗殺者
肝試しの時間(2016/05/16 加筆修正)
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
できねぇからな。
個人のスペックがどれだけ高くても、状況次第じゃ第三者の力が必要になることもある。そういう時に自然と手を取り合えるのが本当の仲間ってもんなんじゃねぇの。殺センセーも似た様なこと言ってただろ?」


と、柄にもなく真面目な会話――しかも、速水と2人でそこそこの長話をしている間にチェックポイントらしき場所に辿り着いた。


「………あれ何?」
「何って、ベンチ?」
「いや、ベンチなのは分かる。俺が言いたいのは、何でハートマークだけで形成されたベンチが肝試しのチェックポイントにあるかってことだ」
「確かに、場違いにも程があるね」


ついさっきまで俺と速水はクソ真面目な雰囲気だったのに、その雰囲気が場違いなベンチのせいで一気に壊れちまった。


「ヌルフフフ。その椅子はかつて琉球で起こった内乱で落ち延びた夫婦が寄り添いながら死んだ曰く付の椅子。この先に進む為には椅子の所で男が女に5分間膝枕をして貰わなければいけません。さもなくば夫婦の霊に呪殺されます」
「………いや、肝試しの霊の設定は古代琉球だったよな?古代琉球にこんなハートをあしらったベンチが存在する訳ねぇだろ」
「ヌルフフフ。現実は小説より奇なり。実際はありました」
「さらっと嘘吐いてんじゃねぇ!タコ野郎!!」


何処からともなく聞こえてくるタコ先に対して俺が罵声を浴びせていると、いつの間にか速水がベンチに座っていた。


「……あの、速水さん?何でベンチに座ってるんッスか?」
「殺センセーのことだから、言われた通りしないと先に進めないでしょ?」
「いや、だからってただのクラスメイトに5分間も膝枕とか嫌だろ?」
「ただのクラスメイトじゃないし。シロの策略から1回、鷹岡に3回、銃使いから1回助けて貰ってる。恩人とまで言わなかったとしても、ただのクラスメイトでもないでしょ?」
「鷹岡から3回も助けたっけ?1回は鷹岡追放の件で、もう1回がホテルの屋上の件だって分かるけど。あと、シロの策略?」
「3回よ。もう1回は矢田と一緒に鷹岡に絡まれた時、助けてくれたでしょ?それも合わせて3回。シロの策略は寺坂がE組のプールを爆破した時の――」
「ああ、あれか。それに寺坂が馬鹿やって皆が流された時のな。あれ?主犯の名前ってポチじゃなかったっけ?」
「シロよ。ポチって呼んでるのはあんただけ。そんなことより、さっさと来なさいよ。先に進めないでしょ?」
「………分かったよ」


速水が梃子でも動かなそうだったので、俺は大人しく膝枕されることにした。そして、5分という時間は意外と長く、暇潰しなのか速水は膝枕をしている間、俺の頭――というか髪を撫で続けていた。

俺の様な癖のある髪を撫でて何が楽しかったのか、5分後の速水は何故かご満悦な様子だった
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ