壱章
陸奥の しのぶもぢずり 〜上〜
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「!?、宜しいのですか?」
「お前が言ったんだろうが、…冗談じゃねェんだろ?」
「え、えぇ…。」
…正直面食らった、駄目元で言ったのに。
「…お前、夜なら大丈夫って言ってたよな?」
その言葉に鈴彦はゆっくり頷く。
何を思ったか藤次郎は再び鈴彦をじっと見つめた後、口を開いた。
「…OK、夜に男に逢い引き申し込むなんざお前みたいなtypeから言われるなんて思ってもみなかったがな。
……まぁ薄々勘づいてはいたがお前も結構ワケありっつうか、色々抱え込んでる身の上みてぇだしよ。」
「…………。」
藤次郎の言葉が胸に鋭い矢のように刺さり、思わず顔を背けてしまった。
此方を全く見ようともしない鈴彦を見兼ねた藤次郎は小さく息をついた後、鈴彦の頬をツンと押した。
「図星ってか…。
ま…、理由は聞かねぇけどよ。
………流石に今からじゃ時間が足りねぇだろうし、何時かお前自身が言いたい時とか、誰かに聞いてほしいって時に聞いてやるよ。」
「………貴方様は____。」
一言続けようとしたがその言葉を飲み込み、
逢える時間は?、と話を逸らした。
僅かに首を傾けた後、藤次郎は、
「そうだな…子の刻はどうだ?」
と、口にした。
「え、あ、あぁ…子の刻ならば問題有りません。」
「んじゃ二日後また逢おうな、今日は楽しかったぜ?……『良いもん』も見れたしな。」
そう言うと藤次郎は手を降りながら背を向け____……ん?
「………あの、藤次郎様?『良いもん』とは?」
「……あ?良いもんは『良いもん』だろ。」
藤次郎は立ち止まり、顔だけをこちらに向け意味深な笑みを浮かべた後、それじゃと再び背を向け帰っていった。
………後に残った鈴彦もまた藤次郎の言った『良いもん』の意味がわからず首を傾げながら帰路に着いた。
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